放牧牛の音響誘導における適正周波数
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要約
音響誘導に適した周波数は 2,000Hz前後が最も良く、4,000~6,000Hzは適さない。複数のスピーカーを設置して同一音を順次発生させて目的地へ誘導することが可能である。周波数の異なる複数音を同一報酬の学習によって識別させるとはできなかった。
- 担当:草地試験場・生態部・家畜生態研究室
- 連絡先:0287-37-7226
- 部会名:草地・永年草地・放牧
- 専門:飼育管理
- 対象:家畜類
- 分類:指導
背景・ねらい
牧牛を音響誘導するために誘導用の音を確実に伝達することが必要であり、誘導技術の設定条件に必要な家畜の学習能力や聴力および音響の識別能力を明らかにする。
音響誘導は食餌性条件反応を利用して行うが、牛の識別可能な周波数特性、同一音の複数音源による順次誘導、周波数の異なる複数音の識別能力の有無等について明らかにした。
成果の内容・特徴
- 125Hzから8,000Hzまで11段階の周波数について60dBから5dBずつ減少させる下降法で聴力測定を行った。125Hzから2,000Hzまで周波数については音に対する感受性は徐々に向上し、2,000Hz前後で最高に達し、2,000Hzから6,000Hzにかけて急激に低下し、8,000Hzで再び向上した(図1)。
- 約100m置きに複数のスピーカーを設置し、最初のスピーカーに音響誘導し、牛群が到達したら次のスピーカーに音響発生を切り替え、順次誘導する学習を行った。初期には人為誘導を加えたが、以降は学習により牛群を複数の音源地点を経て目的地に順次誘導することができた(図2)。これにより1カ所の音響では到達し難い場所においても複数のスピーカーを設置して同一音を順次発生させて目的地に誘導できる。また、同一牧区内の複数のスピーカーからランダムに音響を発生させると、牛群は音源に集合した。
- 周波数の異なる2つの音をランダムに発生させてそれぞれの周波数に対応した誘導場所を識別できるか検討したが、学習日数を経ても正答率は向上せず2音を識別させることはできなかった。
成果の活用面・留意点
- 食餌性報酬を用いた放牧牛の音響誘導技術の設定条件として活用できる。
- 放牧牛の音響誘導技術の設定にあたっては、本成果と既報の最新情報(No6-50)と併せて利用することが必要である。また、食餌性報酬を除去して誘導を繰り返した場合の学習効果の持続については不明である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:放牧家畜の行動制御因子による行動制御
- 予算区分:大型別枠(生態秩序)
- 研究期間:平成1~7年度
- 発表論文等:(圓通茂喜)・
・山田明央・土肥宏志、
学習法で検査した黒毛和種の周波数別聴力特性、第88回日畜大会、1994