サイレ-ジ用とうもろこし一代雑種親自殖系統「Na34」の育成
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要約
「Na34」(エヌエイサンジュウヨン)は、デント種で、やや晩生に属し、ごま葉枯病抵抗性、紋枯病抵抗性及び組合せ能力に優れた自殖系統である。サイレ-ジ用とうもろこしのF1品種育成のための種子親系統として利用できる。
- 担当: 地試験場・育種部・ヘテロシス育種研究室
- 連絡先:0287-37-7551
- 部会名:草地・育種
- 専門:育種
- 対象:飼料作物類
- 分類:普及
背景・ねらい
普及 わが国における環境適応性が高く、優れた特性を有する国産F1品種の育成には、優良F1親自殖系統の育成が不可欠である。自殖系統にとって耐倒伏性、耐病性とともに組合せ能力は最も重要な形質である。そのため、フリント種自殖系統とのF1のヘテロシス発現が大きく、農業形質に優れたデント種自殖系統の育成を目指す。
成果の内容・特徴
- 市販品種「P3358」を母材とし、各種病害抵抗性、耐倒伏性などについての選抜と固定により育成した自殖系統である。
- 生態的特性:早晩性は「やや晩生」に属する。ごま葉枯病抵抗性は「強~極強」、紋 枯病抵抗性は「強」、耐倒伏性は「やや弱」である。(表1)(表2)
- 形態的特性:草型はアプライト型で、稈長は約197cmで「長」、着雌穂高は約83cmで「中」、稈径は約1.7cmで「中」、分げつは発生しない。雌穂は「円筒型」、粒列はほぼ
14列で「やや多」である。粒は「黄色」で、「丸型」である。(表1)
- 組合せ能力:「Na34」とフリント種自殖系統「Na30」との間の単交雑品種
「ナスホマレ」(草地試育成、平成8年度農林登録)の乾物収量、TDN収量は標準品
種より優れており、特定組合せ能力は高い(表3)
- 採種性:花粉飛散程度は「やや不良」であるが、採種量は約45kg/aと多く、種子親としての利用に適している。(表1)
成果の活用面・留意点
- 品種登録がなされており、サイレ-ジ用とうもろこしF1品種の親自殖系統として利用できる。
- 花粉の飛散程度はやや不良であるので、花粉親としての利用にはあまり適さない。
具体的データ



その他
- 研究課題名:飼料用とうもろこしF1品種の育種(F1親自殖系統の育成)
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成8年度(昭和61年~平成8年)
- 発表論文等:井上康昭、望月 昇、濃沼圭一、加藤章夫、トウモロコシのカリビア型フリントF1親自殖系統Na30
の育成とその特性、草地試研報、47号、1993