ブタの散在性反復配列(PRE-1配列)のSSCP法による解析
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要約
ブタの散在性反復配列の1つであるPRE-1配列が,ブタのゲノム上にどの様に存在しているかを解析するとともに,SSCP(一本鎖立体構造多型)を検出することで連鎖解析用マーカーとして利用可能であるかを検討した。その結果,PRE-1配列のSSCP法による解析は,ブタの連鎖解析マーカーに使えることがわかった。
担当:畜産試験場 育種部 家畜ゲノム研究チーム
連絡先:0287-38-8627
部会名:畜産
専門:育種
対象:豚
分類:研究
背景・ねらい
近年、家畜において多型マーカーを用いた連鎖解析による連鎖地図の作成と、形質との
連鎖解析により、特定の形質を支配する遺伝子の染色体上の領域を同定する試みが世界的に行われつつある。本研究ではSSCP(一本鎖立体構造多型)の検出
を利用した新規多型マーカーの開発を目的として行われた。
SSCPの検出は高い感度で多型を検出できる方法であるが、多型解析、連鎖解析への有用性についての研究は少ない。そこで、SSCP解析による多型解
析、連鎖解析への有用性についての検討を行い、またブタのゲノムより、散在性反復配列の1つであるPRE-1配列(233塩基の基本単位とポリA含む配列
がブタのゲノム上に多数散在する)をクローン化して、多型性DNAマーカーとして連鎖解析に利用可能であるかを検討した。
成果の内容・特徴
- ランダムに選択した642個のコスミドクローンの内、約70%のクローンがPRE一1配列のプローブに反応し、PRE-1配列はブタのゲノム上に広く分布しており、非常に多くのコスミドクローンに見出されることがわかった。
- PRE-1配列の全長の塩基配列が決定できた27個に関して、PCR-SSCP解析を行った結果、24個で多型が検出され、そのうちの
14個は連鎖解析が十分に可能な多型性を示した。現在までに8偶のPRE一1配列を連鎖解析により連鎖地図上にのせることができている。また、その元と
なったコスミドをプローブとしたin situハイブリダイゼ一ションの結果は連鎖地図にのった染色体と一致していた(表1)。
- あるPRE一1配列ではその外側にもSSCPが観察され、PRE一1配列の多型と完全に連鎖していた(図1)。
- いくつかのコスミドクローンでマイクロサテライト(連鎖解析によく利用される散在性反復配列の一つ)は検出できないがPRE一1配列は見出され、その数の多さによりマーカーとしての有用性が示された。
成果の活用面・留意点
ブタにおいて特定の遣伝子を連鎖解析により連鎖地図に載せる場合、PRE-1配列の検索とそのSSCP解析は有用な手段の1つとなりうる。
具体的データ


その他
- 研究課題名:SSCP法を用いた散在性反復配列の効率的多型検出法の開発
- 予算区分:バイテク研究(動物ゲノム)
- 研究期間 :平成8年度(平成6~8年度)
- 発表論文等:1)第17回日本分子生物学会講演要旨集,p243(1994)
2)第90回日本畜産学会講演要旨集,p184,186(1995)
3)Animal Genetics,26,p403-406(1995)
4)第91回日本畜産学会講演要旨集,p294(1996)