乳牛におけるイタリアンライグラスサイレージの自由採食量の推定

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要約

刈り取り時期の異なる4種のイタリアンライグラスサイレージでの乳牛による乾物摂取量(DMI)を測定した。その結果,DMIは繊維の消化率,消化速度を表現する酸性デタージェントリグニン,酵素分析法による高消化性繊維,低消化性繊維の含量を指標として,簡易・高精度に推定できることが分った。

  • 担当:畜産試験場 栄養部 消化管微生物研究室
  • 連絡先:0287-38-8660
  • 部会名:畜産
  • 専門:動物栄養
  • 対象:乳用牛
  • 分類:研究

背景・ねらい

乳牛において飼料を効率的に給与するためには、良質粗飼料をいかに多く摂取させる かが重要なポイントとなる。また、最近ではロールベールラップサイレージの普及によ りグラスサイレージを利用する酪農家が多くなり、今後さらに増大していくものと考え られる.そこで乳牛におけるイタリアンライグラスのロールベールラッブサイレージ単 一給与のDMIと化学分析による成分組成の関係から寒地型牧草のグラスサイレージ採 食量の推定式を検討した。

成果の内容・特徴

  • 乳牛の自由採食におけるイタリアンライグラスサイレージの代謝体重当たり摂取量 は、54.19~79.78g/体重kg0.75、乾物摂取量は6.30~9.42kg/1日・1頭であった(表1)。
  • イタリアンライグラスサイレージの酵素分析法による総繊維(OCW)、低消化性 繊維含量(Ob)、細胞内容物(OCC)と高消化性繊維(Oa)を加算した含量お よびデタージェント法による中性デタージェント繊維(NDF)、酸性デタージェン ト繊維(ADF)、酸性デタージェントリグニン(ADL)含量は、代謝体重当たり 乾物摂取量との相関係数が0.969~0.999、標準誤差が0.16~3.43と非常に高い関係を示した。
  • イタリアンライグラスサイレージの乾物摂取量も上記の成分含量との間に相関係数 が0.969~0.999、標準誤差が0.04~0.41と非常に高い関係か認められた(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 乳牛の飼料設計および給与診断に活用できる。オーチヤードグラス、チモシー、トールフェスク等のイネ科牧草における相対的な採食性比較の場面にも利用できる。
  • 推定式の中ではADL含量を指標としたものが最も精度が高いが、分析の容易なOCW、NDF含量を指標としたものの利用を推奨する。
  • DMIは切断したロールベールラップサイレージを給与したときのものとする。
  • タウリンの添加により卵黄重が重くなるため、卵白/卵黄比は低くなる傾向がある。

具体的データ

表1 イタリアンライグラスサイレージの成分含量および自由採食量

表2 イタリアンライグラスの自由採食量と成分含量との関係

その他

  • 研究課題名:乳牛におけるイタリアンライグラスサイレージの自由採食量の推定
  • 予算区分:経常
  • 研究期間 :平成8年度
  • 発表論文等:日本畜産学会第92回大会発表