近赤外分光法による牧乾草および牧草サイレージのTDN簡易推定

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要約

牧乾草および牧草サイレージのTDN含量を近赤外分光法によって測定するための検量線を作成し,それによって簡易にTDN含量を高い精度で推定することができた。

  • 担当:畜産試験場 栄養部 消化管微生物研究室
  • 連絡先:0287-38-8660
  • 部会名:畜産
  • 専門:動物栄養
  • 対象:乳用牛・肉用牛
  • 分類:研究

背景・ねらい

牧乾草牧草サイレージの栄養価は、一般に可消化養分総量(TDN)で表現される ことが多く、飼料給与の指標として広く用いられている。TDN推定法は、これまでに 種々の方法か提案され用いられてきているが、高精度な簡易評価法の確立が、分析セン ター等から強く求められている。そこでTDNを高精度に推定可能な近赤外分光法に注 目し、その推定精度を検討した。

成果の内容・特徴

  • 乾牧草および牧草サイレージのTDN推定 乾牧草35点による検量線のin vivo値と近赤外推定値との相関係数(r)および標準誤差(SEC)は、2波長、3波長(図1) および4波長を使用したものでそれぞれr=0.90~0.95、SEC=2.45~3.29であった。検量線に用いた乾牧草とば別に用意した17点による検 量線の検定では、in vivo値と近赤外推定値とのrおよび標準誤差(SEP)は、r=0.87~0.89、SEP=3.18~3.40であった(図2)。 牧草サイレージ37点による検量線のrおよびSECは、2~4波長を使用したものでそれぞれr=0.91~0.94、SEP=2.58~3.01てあり、 検量線に用いた牧草サイレージとは別に用意した16点による検量線の検定では、rおよびSEPは、r=0.85~0.88、SEP=2.93~3.26で あり(表1)、乾牧草および牧草サイレージともに高い推定精度を示した。このことから実用的なレべルで利用できる。
  • 乾牧草・牧草サイレージ混合飼料グループのTDN推定 乾牧草と牧草サイレージを同一の飼料として上記検量線用試料72点により作成した 検責線のrおよびSECは、2~4波長を使用したものでそれぞれr=0.80~0.87、SEP=3.59~4.32であった。検量線に用いた乾牧草およ び牧草サイレージとは別に用意した上記33点による検量線の検定では、r=0.88~0.89、SEP=2.92~3.10であり(表1)、乾牧草および牧草サイレージ単一のものと同様の高い精度を示した。

成果の活用面・留意点

飼料設計および給与診断に利用価値か高い。 これらの検量線は、NIRSystems社6500型の近赤外分析計で使用できる。 推定式の中では4波長を使った検量線の利用を推奨する。利用範囲はTDN含量44~73とする。

具体的データ

図1 牧乾草の検量線におけるTDNと近赤外推定値の関係

図2 牧乾草の検量線検定におけるTDNと近赤外推定値の関係

表1 In vivoTDNの検量線と推定精度

その他

  • 研究課題名:粗飼料のTDN簡易推定法の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間 :平成8年度
  • 発表論文等:1)平成8年度自給飼料品質評価研究会資料(畜産試験場,'96-9資料)
                      2)日本草地学会第52回大会発表