サイレージ用とうもろこし一代雑種親自殖系統「Na23」

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要約

「Na23」(エヌエイニジュウサン)は、(Oh4 3Ht×H84)×H84の集団から育成されたデント種で、晩生~極晩生に属し、ごま葉枯病、紋枯病抵抗性はそれぞれ強、中、耐倒伏性はやや弱で、組合せ 能力に優れた自殖系統である。サイレージ用とうもろこしF1品種育成のための親系統として利用できる。

  • 担当:草地試験場・育種部・ヘテロシス育種研究室
  • 連絡先:0287-37-7551
  • 部会名:育種
  • 専門:育種
  • 対象:飼料作物類
  • 分類:普及

背景・ねらい

わが国の厳しい環境条件への適応性が高く、優れた特性を有する国産F1品種の育成には、優良F1親自殖系統の育成が不可欠である。自殖系統にとって耐倒伏性、耐病性とともに組合せ能力は最も重要な形質である。そのため,フリント種自殖系統とのF1においてヘテロシス発現が大きく、農業形質に優れたデント種自殖系統を育成する。

成果の内容・特徴

  • 育種母材は Oh43Ht×H84 にH84を1回戻交配した集団で、各種病害抵抗性、耐倒伏性などについての選抜と固定により育成した自殖系統である。
  • 生態的特性:早晩性は「晩生~極晩生」に属する。ごま葉枯病抵抗性は「強」、紋枯病抵抗性は「中」、耐倒伏性は「やや弱」である(表1)、(表2)
  • 形態的特性:草型はアプライト型で、稈長は「長~極長」、着雌穂高は「高~極高」、稈径は「やや太」、分げつは発生しない。粒列数はほぼ16列で「多」である(表1)。
  • 組合せ能力:「Na23」を花粉親とする単交配一代雑種品種「タチタカネ」(長野県中信農試とうもろこし育種指定試験地育成、平成9年度農林登録)は、耐倒伏性、黒穂病抵抗性が強く、乾物収量、TDN収量が優れており、組合せ能力は高い(表3)。
  • 採種性:花粉飛散程度は「中」、採種量は約40kg/aで良好である(表1)

成果の活用面・留意点

  • サイレージ用とうもろこしF1品種の親自殖系統として利用できる。
  • 耐倒伏性はやや弱いので、単交雑組合せは耐倒伏性が優れた自殖系統との組合せが望ましい。

具体的データ

表1.「Na23」の一般生育特性と採種性

表2.「Na23」の耐病性と耐倒伏性

表3.「Na23」を花粉親とするF1品種「タチタカネ」と標準品種との比較

その他

  • 研究課題名:飼料用とうもろこしF1品種の育種(F1親自殖系統の育成)
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成9年度(昭和59年~平成9年)
  • 研究担当者:門馬榮秀、井上康昭(北農試)、望月 昇(退)、村木正則、加藤章夫(生物研)、濃沼圭一(九農試)、大同久明