混合サイレージ調製機の混合精度向上

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要約

ダイレクトカットした生材料草と乾草した配合飼料を均一に混合して、地下角型サイロに張り込む技術において画像処理による搬送量計測装置と、材料草事前計量による補正法の導入により、 混合サイレージ調製機での配合飼料の混合精度を向上させることができ、高品質の混合サイレージが得られる。

  • 担当:草地試験場・飼料生産利用部・調製工学研
  • 連絡先:0287-37-7803
  • 部会名:飼料利用
  • 専門:機械作業
  • 対象:農業機械
  • 分類:研究

背景・ねらい

ダイレクトカットした材料草に配合飼料を混合し、混合サイレージ調製を行うことにより、高水分材料の発酵品質改善と、給与時における調製作業量の低減を図ることができる。この混合サイレージ調製作業の配合飼料等添加材の混合精度を高め、より高品位・均質な混合サイレージ調製を可能にする。

成果の内容・特徴

  • 画像処理によるサイレージ材料草の搬送量計測装置は、混合サイレージ調製機(草地飼料作研究成果最新情報第9号No. 34参照)の荷受けコンベヤ上に搭載される。本装置は材料草の搬送量を0.1秒毎にレーザスリット光とCCDカメラにより断面積として計測し、質量を算出して制御データを配合飼料調量添加装置へ送る。調量添加装置は設定された混合割合になるよう、配合飼料の排出量を自動調整する。図1に機械装置の配置を示す。
  • 搬送量計測装置をオーチャードグラス主体の混播草を供試して較正した。材料草の見かけ密度は、草種・水分・切断長等により大きく変動するため、詰込み作業直前に少量の計量した材料草をコンベヤに流し、較正式の係数を補正する手法を開発した。この直前の補正により、混合サイレージ調製には十分な質量推定精度が得られる。図2に本方式による装置の計測精度の測定例を示す。
  • 本機及び本較正式補正方式を用いて実規模サイロへの混合サイレージ調製を行い(試験区)配合飼料の混合精度を調べ、従来方式の調製法(対照区、超音波センサによる草量推定と、作業前補正なし)と比較した。設定混合割合はどちらも現物重当たり試験区10%、対照区20%とした。図3に配合飼料混合割合のヒストグラムを示す。試験区の変動係数は0.39で、対照区に比較して分布が集中しており、より均一な混合が行なわれた。試験区の平均混合割合は10.75%と実作業上問題のない精度である。 試験区混合サイレージと、同じ材料草で配合飼料を添加しなかったサイレージの発酵品質を表1に示す。試験区は排汁の発生も認められず、良好な品質である。

成果の活用面・留意点

  • 従来の手法より均一かつ高精度な混合サイレージ調製作業が可能である
  • 詰込み作業前に、材料草搬送量計測装置の簡易補正が必要である。また、サイロへの均一な詰込みのためには、ブローワのシュートの操作に作業員1名を要する。

具体的データ

図1.混合サイレージ調製における機械配置

図2.裁断生牧草搬送量の計測例

図3.配合飼料の混合割合の分布

表1.試験区混合サイレージの醗酵品質

その他

  • 研究課題名:ダイレクトカットによるサイレージ調製給与技術の高度化
  • 予算区分  :経常
  • 研究期間  :平成9年度(平成6年~9年)
  • 研究担当者:天羽弘一、喜田環樹、市戸万丈、佐々木康弘 
  • 発表論文等:サイロ詰め込み用混合サイレージ調製機の開発(第3報)、第55回農業機械学会年次大会講演要旨、1996