ソルガム類の近赤外分析用キャリブレーション

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要約

作成したソルガム類のサンプルセットを用いた近赤外分析のキャリブレーシ ョン(校正)である。粗蛋白質、繊維成分、乾物消失率などについて実用的な推定精度がある。

  • 担当:草地試験場飼料生産利用部飼料調製評価研究室
  • 共同研究長野県畜産試験場
  • 連絡先:0287-37-7804
  • 部会名:飼料利用
  • 専門:動物栄養
  • 対象:飼料作物類
  • 分類:指導

背景・ねらい

飼料成分を簡易・迅速に調べるため、近赤外分光分析が多くの機関で用いられている。この分析技術の向上をはかるため、新しいサンプルセットの作成ならびに新しい分析項目への適用の検討が期待されている。

成果の内容・特徴

  • サンプルセットのソルガムは長野県畜産試験場で栽培されたもので、市販品種53種、純系品種・系統52種からなり(表1)、それぞれの茎葉部とホールクロップサイレージを採取したものである。化学分析値は長野畜試と草地試で、動物実験値(乾物消失率、平均嗜好度)は長野畜試で黒毛和種を供試して求めた。
  • 新分析項目としてホールクロップサイレージの乾物消失率(ナイロンバッグ法による)と平均嗜好度(牛による一対比較法の結果から算出した値で、-1.0から1.36の範囲に分布した)について検討したところ、比較的高い精度で推定できることが判明した。また、茎葉部のサンプルでミネラル含量について検討したところ、含有量が大きいKは比較的高い精度で推定できるが、含有量が小さいCa、Cl、SO4は推定精度が低くなった(表2)。
  • サンプル群から一部の品種群のサンプルを分割し、それを含まない品種群で作った校正式にあてはめると、組み合わせによって推定精度が低下することが判明した。bm,bmr(低リグニン、ワックスなし)系統群は、茎葉部のサンプルの場合に他の品種群との違いが表れた(表3)。

成果の活用面・留意点

  • キャリブレーションを移設することによって、他の場所での近赤外分析で利用できる。
  • 移設を行う場合は、化学分析の手法や試料の栽培地の違い等によって校正式の適合度が低い場合があるので、有効性の確認(バリデーション)を行う必要がある。

具体的データ

表1.供試ソルガムのタイプと品種・系統による分割

表2.ソルガム分析用校正式

表3.サンプルの分割による適合(バリデーション)の低下例