自給飼料を主体とした全自動TMR調製給飼装置

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要約

サイロクレーンによる粗飼料の取り出しに始まり、TMRの調製および配飼を全 自動で行う装置である。本装置は牛群毎の材料配合割合・給飼量・時刻を制御コンピ ュータに設定することで、牛群毎のみならず個別飼槽毎にも高精度な給与量制御による多 回給飼を省電力的に行え、給与履歴の把握も可能である。

  • 担当:草地試験場・飼料生産利用部・調製工学研
  • 連絡先:0287-37-7803
  • 部会名:飼料利用
  • 専門:機械作業
  • 対象:農業機械
  • 分類:普及

背景・ねらい

酪農家にとって飼料の調製・給与は搾乳に次いで多労な作業である。フリーストール飼養では、濃厚飼料は個別給与し、粗飼料を自由採食させる方式が省力的であるが、濃厚飼料と粗飼料の適正な採食比率を保つことが難しく、TMRの調製給与が望ましい。そこでTMRの調製から多回給飼までの完全自動化を目指して装置の開発を進めた。

成果の内容・特徴

  • 装置の概要・操作:装置の構成を図に示す。主要部は1~4に示すサイロクレーン、荷受け・一時貯留装置、2軸スクリュ式混合機、配飼装置であり、全体をタッチパネル式制御盤を持つコンピュータが制御している。作業者は制御盤に、牛群毎の材料配合割合、給飼回数、給飼時刻、さらに各回の給飼量を等量にするか、特定の時間の量を多く、または少なくするかを入力する。設定変更の必要がなければ装置は毎日自動運転を続ける。
  • 効果と特徴:本装置は給飼作業に関わる労働時間の大幅な短縮と、労働時刻の拘束か らの解放を実現した。前提として群分けを行い、5~8回の多回数給飼を行うことで一回に調製・運搬するTMRの量を少なくしている。そのため動力は小型電動機に限定でき、設置農家(80頭規模)の実績月間電力量は300~400kWh程度の省エネルギー型装置である。
  • 開発経過と性能向上:本装置は草地試験場が基本型を開発し、企業製品化により普及を促進した。1号機設置から部分的改良を行い、草地試験場に設置した12号機では配飼装置に計量機構を組込み、個別飼槽への計量給飼が可能となった。一回1飼槽ごとの設定値に対する計量誤差は5%以下であり、設定値に対して発生した計量誤差を次回の給与時に修正する機能を付加したことによって、一日合計給与量誤差は質量で2%以内となる。また個別飼槽給与・配飼場給与とも、実給与量による給与履歴の集計を可能にした。

成果の活用面・留意点

  • 群管理飼養では十分な性能と実績が認められ、個体管理作業の充実、ゆとりある経営、飼養頭数の増加を実現している。
  • 既存牛舎では設置が困難な場合がある。連続混合のため、構成材料によっては混合精度が不十分なこと、個別飼槽ごとの成分構成比に変動があること、等に改善が必要である。

具体的データ

図.装置の概要・操作:装置の構成

図2.装置の構成

その他

研究課題名:粗飼料の連続混合システム
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(昭和63~平成元年、平成5~9年)
研究担当者:市戸万丈、喜田環樹、瀬川 敬、佐々木泰弘、天羽弘一
発表論文等:瀬川ら、飼料の自動混合調製・給餌方法、日本国特許2560240(平成8年)