オーチャードグラス及びペレニアルライグラスの低施肥条件における生産性
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要約
オーチャードグラスは低施肥管理でも植生を維持するが、ペレニアルライグ
ラスは利用3年目以降の夏期の高温と干ばつのため減少する。シロクローバの混播に
よって春の生産量が増加するため40~60%の増収が認められる。
- 担当:草地試・放牧利用・上席研究官
- 連絡先:0287-37-7808
- 部会名:永年草地・放牧
- 専門:栽培
- 対象:牧草類
- 分類:研究
背景・ねらい
無施肥あるいは少量施肥条件下で最大の牧養力を得ながら植生の維持を図るための管理利用法を確立する。そのため,従来一定程度の施肥を前提に評価されていた牧草類を無施肥あるいは少量施肥条件下で永続性,生産性の面から再評価する。
成果の内容・特徴
オーチャードグラス(マキバミドリ)及びペレニアルライグラス(フレンド)の単播区並びにこれら草種のシロクローバとの混播区を設けた(基肥N-P2O5-K2Oそれぞれ8-12-8kg/10a)。N-P2O5-K2Oの追肥量を10a当たり各々0,2kg,4kgとして,年5~6回刈り取った。追肥は尿素入りIB化成を用い,7月に施用した。
- 播種草種の生産量は利用2年目までは施肥量の多い区ほど多い傾向が認められるが、 3年目以降は施肥量による差は明らかではない(図1)。利用にともなう生産量の低下はペレニアルライグラスの方がオーチャードグラスより大きい(図1)。
- シロクローバ混播区の播種草種の生産量は,シロクローバが維持されていた2年目までは単播区より40~60%多い(表1)。3年目以降,単播区にもシロクローバが侵入したため,オーチャードグラスではシロクローバ混播の効果は小さくなるが,ペレニアルライグラスではシロクローバ混播の効果がある(図1,表1)。
- シロクローバ混播区の生産量は夏から秋は単播区と差はないが,4,5月の生産量が多く,シロクローバの混播による増収効果は春の生産量が増加するためと考えられた(図2)。
- 3年目以降,夏期の高温と干ばつのためにペレニアルライグラスの草種構成割合が低下し,雑草の割合が増加する(表2)。オーチャードグラスは一部で雑草の侵入が認められたものの80%前後の草種構成割合を維持する(表2)。
成果の活用面・留意点
- 温暖地の牧草地の低施肥管理の参考となる。
- これは刈取条件での結果であり,放牧条件では別途検討が必要である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:ローインプット草地の生産特性
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成9年度(平成4年~8年)
- 研究担当者:原島德一,西田智子、尾上桐子
- 発表論文等:原島ら(1994):日草誌,40(別)141-142。