改良目標を達成するためのBLUP法における簡便演算法とプログラムの開発

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

育種価の制限付き最良線形不偏予測(制限付きBLUP)を算出するための簡便な演算法を考案するとともに,育種価を算出するコンピュータプログラムを開発した。

  • 担当:畜産試験場 育種部 計量遺伝育種研究室
  • 連絡先:0298(38)8625
  • 部会名:畜産
  • 専門:育種
  • 対象:家畜類
  • 分類:普及

背景・ねらい

改良したい複数の形質に改良目標値を設定して選抜を行う場合,制限付きBLUP法に基づいた推定育種価による種畜評価が有効である。しかし,制限付き BLUP法により育種価を推定する場合,評価したい形質数や個体数の増加に伴い,方程式のサイズが大きくなるため,演算時間が急激に増 大する。制限付きBLUP法の演算法を改良することができれば,育種価を推定するためのコンピュータの演算時間および記憶容量を大幅に節約できる。

成果の内容・特徴

  • 育種価の制限付きBLUPを算出する簡便法について理論的検討を試みた。その結果,改良目標を 達成するためのBLUP方程式の解のベクトル間に線形従属な関係を発見した。この関係から,多形質のBLUP方程式のサイズを1形質のそれに縮小させるこ とが理論的に可能となった(図)。
  • 改良目標を達成するにあたり,最も効率的な選抜指標となる育種価を推定 するためのコンピュータプログラムを開発した。育種価を推定するためのコンピュータの演算時間および記憶容量の節約量は形質数に依存するが,方程式の育種 価に相当する部分ではおおよそ形質数の二乗分の1となる。

成果の活用面・留意点

  • 本結果は,改良目標を達成するための家畜,家禽等の選抜に有効である。特に,本プログラムは,豚および鶏の系統造成においてすでに活用されている。
  • 本プログラムは豚の系統造成用に開発されたため,母数効果の設定条件に若干の制約がある。大規模な開放群の種畜評価にも適応させるためには,より汎用性の高いプログラムにする必要がある。

具体的データ

図 4形質の制限付きBLUP方程式の模式図