小型堆肥化実験装置の開発と利用方法

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要約

少量のサンプルでも堆肥化試験ができる,容積約10Lの小型堆肥化実験装置を製作した。本装置を利用することによって,家畜ふん尿など有機性廃棄物を堆肥化するための混合割合,水分,通気量などの堆肥化条件を簡便に検討することができる。

  • 担当:畜産試験場 飼養環境部 汚染物質浄化研究室・廃棄物資源化研究室
  • 連絡先:0298(38)8677
  • 部会名:畜産
  • 専門:環境保全
  • 対象:家畜類
  • 分類:普及

背景・ねらい

堆肥化(コンポスト化)は家畜ふん尿の資源化を目的としたもっとも一般的な処理・利用方法である。環境汚染が少ない形で堆肥化処理機能の向上を図り,付 加価値の高い高品質の堆肥を生産するためには,家畜ふん尿や副資材など色々な堆肥化材料について,混合割合,水分,通気量などの堆肥化条件を検討する必要 がある。また,堆肥化過程における化学成分の変化,悪臭や環境負荷ガスの揮散,微生物の動態などを研究することが重要である。そこで,少量のサンプルでも 堆肥化試験ができ,再現性が高く,繰返し実験が容易な小型堆肥化実験装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 少量のサンプルでも堆肥化実験が可能な,有効容積約10Lの小型堆肥化実験装置である(図1)。
  • 上蓋部を傾斜させることによって,堆肥化過程で発生する水蒸気を,凝集水として捕集する構造とし(図1),堆肥の水分増加を防ぐことができる。
  • 任意の設定通気量で下部から強制通気することができる。通気量の設定可能範囲は,「堆肥化施設設計マニュアル」(中央畜産会発行)に準じた0~200L/m3・分である。
  • 周囲を断熱材で覆い,堆肥化に伴う品温の上昇が実現でき,その変化を自動記録して,後にエクセルファイル等に転送できる。測定例を 図2 に示す。
  • 窒素など肥料成分の収支を調べ,堆肥化後に堆肥に残存する窒素量及び堆肥化過程で揮散する窒素量を把握することができる。測定例を 図1 に示す。

成果の活用面・留意点

  • 堆肥化過程における各種成分の収支,悪臭や環境負荷ガスの発生パターン,微生物の消長や添加効果などの検討に利用できる。
  • 堆肥化の初期過程を調べるためには有効だが,後熟過程を調べるためには別の方法を考える必要がある。

具体的データ

図1 堆肥化前後の窒素の収支の測定例

図2 豚ふん堆肥化過程の品温変化の測定例