ほふく茎の伸長に優れるシバ新品種候補系統「朝駆」
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要約
全国から収集したシバ(Zoysia japonica Steud.)エコタイプの中から、高知県南国市由来の系統がほふく茎の伸長に優れることを見出し、栄養系選抜による新品種候補「朝駆」として出願を行う。この特性は、芝草地の早期造成に寄与できるものと考えられる。
- 担当:草地試験場・育種部・育種資源研究室
- 連絡先:0287-37-7552
- 部会名:育種
- 専門:育種
- 対象:牧草類
- 分類:研究
背景・ねらい
シバは傾斜地での放牧用草種として重要であるが、造成に時間と労力を要することが問題となっている。そこ
で、収集した遺伝資源の特性を調査したところ、優れた特性を有する系統が見出されたので、特性を明らかに
して種苗法による品種登録を行う。
成果の内容・特徴
- 1991年から1992年にかけて全国の公立試験研究機関等の協力を得て収集したシバ遺伝資源について形態・
生理・生態的特性の評価を行った。
- この中で高知県南国市で収集したエコタイプ「朝駆」は他の品種・系統から卓越した優秀性・区別性
が認められた。
- 「朝駆」の最大の特徴はほふく茎の伸長が速い点で、1個体当たりの最長ほふく茎長は定植後3カ月
で0.63m、定植後1年1カ月で1.41mに達し、標準・対照品種中最も生育旺盛な「みやこ」の1.7倍~2.4倍であ
った
(表1)
。
- その他、ほふく茎が太いこと、葉長・葉幅が大きいこと、ほとんど出穂しないことなどの特性に区別
性が認められた。
- 「朝駆」は栄養繁殖を前提としているため均一性・安定性ともに認められるので、種苗法による品種
登録の要件を満たしていると判断し、出願する。
成果の活用面・留意点
- ほふく茎の伸長が速い特性を活かし、芝草地の早期造成や土壌保全用としての利用が見込まれる。
- 放牧適性、地域適応性については未検定のため、これから検定を実施する予定である。
具体的データ

その他
- 研究課題名:草類遺伝資源の2次、3次特性評価
- 予算区分 :遺伝資源・経常
- 研究期間 :平成10年度(平成5年~12年)
- 研究担当者:小林 真、蝦名真澄、中川 仁、鶴見義朗、奥村健治、荒谷 博、高井智之、春日重光
- 発表論文等:シバ属自生植物の収集(全国)、植物遺伝資源探索導入調査報告書、通巻第8巻、17-21、
1992