懸垂型ロールベール解体機
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要約
ロールベールを両底面で把持し、その円柱軸を水平に保持・懸垂してロールベールを回転させながら、ウインドローを再現させる形でロールベール解体を行う装置。簡易な構造で自作が可能であり、トラクタを用いることなく、ロールベールを解体できる。
- 担当:草地試験場・飼料生産利用部・調製工学研究室
- 連絡先:0287-37-7803
- 部会名:飼料利用
- 専門:機械,作業
- 対象:農業機械
- 分類:指 導
背景・ねらい
ロールベールサイレージ調製は牧草生産の過半を占めるにいたり、自給飼料の主体となっている。しかしその
解体・再調製・給飼については、利用場面の多様さ
のために決定版がなく、また市販のロールベールシュレッダは利用条件が限らており、かつ高価である。そこ
で、酪農家が自作できる程度の構造で安価なロール
ベール解体方式を開発する。
成果の内容・特徴
- 装置の概要・操作:本体は、ベール底面に突き刺さって回転力を伝える爪を持った把持板と、それを取り
付けた把持時に開閉するアーム及び電動機で構成される
(図1)
。本体を懸垂するのは天井クレーンもしくは専用の吊り下げ作業枠による
(図2)
。吊り下げ作業枠を移動させ横置きされたロールを把持し、解体場所に移動してフィルム・トワインを除去し
、解体回転方向を確認(逆方向回転では解体できない)して電動機により回転解体する。多くの場合、芯部分
の解体には手補助を必要とする。
- 効果と特徴:本方式は1材料の絡み付き・落下損失が少ない、2フィルム等の除去作業や回転方向の
選択を行い易い、等の作業上の取扱い性
が優れ、3動力源としてのトラクタを必要とせず省動力である、4ウィンドローを再現させる形で解体を行う
ため、材料供給質量が安定している、等の特徴があ
る。本体は減速機付き電動機(200W、1/100)・チェン・スプロケット、作業枠はキャスタ・チェンブロック
等の購入材料費合計20万円程度<
(表1)
であり、当方が提示するベールサイズに応じた図面に従えば、切断機と溶接機程度で作成可能である。
- 処理能力と性能向上:再梱包用材料供給装置として、径・幅1.2mベールを供試した試験(
図3
下、ベール解体後、材料をコンベアでタイトベーラに供給する)での処理能力は、材料水分・性状により大き
く変動し、現物流量で400~1800kg/hであった。使用目的とベールサイズに対応して能率を高めるのも容易な
構造である。既に数件の取り組みが開始されている。
成果の活用面・留意点
- 再梱包用材料供給の解体に限らず、細断用カッタへの供給、直接給飼にも利用可能である。天井クレーン
のある場所なら更に取り扱いやすい。
- ベール軸芯を把持する必要があり、横置き貯蔵で変形したベールでは作業が困難である。芯部分の解
体や、取扱いに係わる部分は利用目的に応じた工夫・改善の余地が残されている。
具体的データ




その他
- 研究課題名:TMRサイレージの梱包調製・流通技術の開発
- 予算区分 :総合的開発研究[新用途畑作物]
- 研究期間 :平成10年度(平成8~10年)
- 研究担当者:市戸万丈、天羽弘一、喜田環樹、佐々木泰弘(現農業研究センター)