ハ-ブ類給与による高風味牛乳生産

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

乳牛にシナモン、ロ-ズマリ-を給与すると、それぞれの香気成分であるシナミックアルデヒドとd-カルボンが牛乳へ移行し、風味の優れた牛乳を生産することができる。

  • 担当:草地試験場飼料生産利用部乳牛飼養研究室
  • 連絡先:0287-37-7806
  • 部会名:草地・飼料作 畜産
  • 専門:動物栄養
  • 対象:家畜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

ハ-ブを乳牛に給与し、香気成分を牛乳に移行させ良好な香りを牛乳につけること及び、マスキング作用により牛乳臭を除去することは牛乳の消費拡大を目的と した高風味牛乳生産技術となりうる。そこで、本試験においてはハ-ブを乳牛に給与し香気成分の移行及び牛 乳の風味に対する影響について検討を行った。

成果の内容・特徴

  • 乳牛にハ-ブミックス1(シナモン、バジルを1:1で混合)、ハ-ブミックス2(ロ-ズマリ-:キャ ラウエイを1:1で混合)を濃厚飼料に混合して給与し、牛乳を生産した( 表1 、 2)。これをハ-ブ無給与の牛乳を対照として18人のパネラ-を用いた官能試験に供した。香気成分につい てはGS-MS(ガスクロマトトグラフ質量分析器)を用いて分析し、牛乳中へのハ-ブ成分の移行について 検討を行った。
  • 牛乳への香気成分の移行について、ハ-ブミックス1、2ではそれぞれシナモンの精油成分であるシ ナミックアルデヒド、ロ-ズマリ-の精 油成分であるd-カルボを指標として分析を行うと、これら精油成分が牛乳中に検出される。ハ-ブ類無給与 の場合にこれら香気成分は検出されないことから、 ハ-ブ成分が牛乳へ移行することがわかる (表3) 。
  • 牛乳の官能試験は、ハ-ブミックス無投与を対照としてハ-ブミックス給与の牛乳について表4に示す項目に ついて点数付けによる比較をすると、ハ-ブミック ス1給与の牛乳では有意に「牛乳臭さがない」、「味の切れがある」、「甘い感じがする」、「総評として良 い」という結果が得られている (表4) 。
  • 以上のことから、ハ-ブ類を飼料に添加して高風味の牛乳を生産できることが示唆される。

成果の活用面・留意点

  • 牛乳の消費拡大のための技術開発のための基礎的なデ-タ-となる

具体的データ

表1 給与飼料の配合割合

表2 給与ハーブ

表3 牛乳中の香気成分

表4 官能試験の結果

その他

  • 研究課題名:牛乳中脂質成分の変動要因の解析
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成9年度(平成7-10年)
  • 研究担当者:安藤貞、西田武弘、M.R.イスラム、石田元彦、河智義弘(カネカサンスパイス)、瀬寿美 子(カネカテクノリサ-チ )
  • 発表論文等:特許出願中 特願平10-094992号