フリーストール飼養の乳牛による体マッサージ器具の利用性
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要約
乳牛の体マッサージ器具の利用性を調査した結果,市販の逆L字型ブラシは,人工芝を利用した簡易マッサージ板よりも利用性が高く,牛体の利用部位は横ブラシで尻上,縦ブラシおよび簡易マッサージ板では頭部をよく利用される。
- 担当:草地試験場・資源循環研究グループ
- 連絡先:0287-37-7805
- 部会名:飼料利用
- 専門:飼育管理
- 対象:家畜類
- 分類:指導
背景・ねらい
フリーストール牛舎内の隔柵パイプなどに牛が体の一部をこすりつける身づくろい行動が時々認められる。その動機には,かゆみ解消,毛づくろい,ふけ落し,遊び,ストレスなどが考えられている。このような牛の快適性を確保する衛生器具として,マッサージブラシ
が市販されている。そこで,その利用性を明らかにするとともに,簡易マッサージ板を試作し,併せてその利用性を比較検討する。
成果の内容・特徴
3種のマッサージ器具(写真1),すなわち,市販の逆L字型マッサージブラシ,縦マッサージブラシのみ,人工芝マッサージ板(ジョイント型人工芝(30×30cm)2枚を1cm厚ベニアに縦にねじ止めしたもの)を同じ牛群(15頭)に各7日間ほどの馴致の後,それぞれ8(最初と最後に4日間ずつに分けて実施),4,4日間ずつ利用状況を調査した。牛群の平均年齢は6.5歳(3~9),同産次2.4(1~5),同体重は7kg(605~821),同日乳量は32kg(23~41)であり,調査時までの6カ月間は同じ群内で飼養されていた個体からなる。
- 一日一頭あたりの利用回数や利用時間から,逆L字型ブラシの利用性が有意に高く,次いで縦ブラシであり,人工芝板が最も低い
(表1)。
- 逆L字型ブラシに対する牛の利用部位では,縦ブラシの利用回数(3.0回)が横ブラシのそれ(4.9回
)よりも多く,横ブラシで尻上,縦ブラシでは頭部の利用回数が最も多い
(表1)
。縦ブラシのみで設置した時は頭部での利用が66%,人工芝板では82%を占める(表1)。
- 3種の器具ともすべてのウシが利用し,器具の違いによる利用性に個体差があるが(図1),各牛の年齢,産次,乳量,体重と各器具の利用回数との間に関係が認められない。
成果の活用面・留意点
- 放牧地やパドックでの利用も可能である。
- 逆L字型ブラシでは,横ブラシによって装着ヒートディテクターが反応する時がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:資源循環を基盤とする乳牛の群管理システムの開発
- 予算区分 :総合的開発研究「自給飼料基盤」
- 研究期間 :平成10年度~12年度
- 研究担当者:早坂貴代史・河本英憲・下名迫寛・土肥朋子(富山県新川農改普及セ)
- 発表論文等:フリーストール飼養牛による逆L字型マッサージブラシと簡易マッサージ板の利用性日本畜
産学会第95回大会 P.17 1999