若齢子牛を連続放牧及び輪換放牧した草地の生産量と被食量
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要約
ペレニアルライグラス・シロクローバ混播草地において交雑種の若齢子牛を供試し,兼用利用を取り入れた連続放牧及び輪換放牧した結果,牧草の生産量は輪換放牧区がやや多かった。しかし,被食量及び増体量では放牧方法による差は小さかった。
- 担当:草地試・放牧利用・上席研究官
- 連絡先:0287-37-7808
- 部会名:永年草地・放牧
- 専門:栽培
- 対象:牧草類
- 分類:研 究
背景・ねらい
黒毛和種とホルスタイン種の交雑種の肥育素牛を、3ヶ月から放牧で育成し,省力・低コストで,しかも高位家畜生産を得る放牧方式を開発する。そのために兼用利用を取り入れた連続放牧及び短期輪換放牧における牧草及び家畜生産を明らかにし,F1子牛の哺育・育成用草地の維持管理技術を確立する。
成果の内容・特徴
- ペレニアルライグラス(フレンド)・シロクローバ(フィア)混播草地に1月生まれの交雑種去勢牛(黒毛和種×ホルスタイン種)を4月中旬~11月中旬まで連続放牧(連続区)及び輪換放牧(輪換区)した。1区当たりの面積と放牧頭数は1993,1994年は0.8haで6頭,1995,1996年は0.67haで5頭とした。両区とも放牧専用(全体の40%),兼用I(20%;1番草採草後放牧),兼用II(40%;1,2番草採草後放牧)に3分割して利用した。5月上旬まで乾草及び配合飼料,7月下旬~9月下旬は兼用区で収穫した乾草,10月上・中旬は乾草及び圧扁トウモロコシ,10月下旬以降は乾
草及び配合飼料を給与した。
- 年間生産量は輪換区の方が連続区よりやや多い傾向が認められる。また,兼用利用の方が放牧専用利用よりやや多い傾向があるが,利用方法による差は連続区の方が小さい(表1)。
- 年間被食量は1993年は輪換区の方が多いが,1994年以降は連続区の方がやや多いため,4年間の平均では両区の差は小さかった(表1)。1日1頭当たりの採食草量は春先は 輪換区と連続区の差がないか輪換区の方が多い傾向があるが,夏は連続区の方が多い(図1)。
- 草種構成の推移をみると両区とも基幹草種であるペレニアルライグラスは年々衰退し,放牧専用利用ではケンタッキーブルーグラスの割合が高くなる(図2)。
- 子牛の1日当たり増体量は1993年及び1996年は輪換放牧区が高く,異常気象(猛暑)年である1994年は連続放牧区が高い,
(表2)。
成果の活用面・留意点
- 若齢子牛の放牧育成の基礎資料となる。
- 利用にともなうケンタッキーブルーグラスの優占化の原因を解明する必要がある。また,若齢牛は春先の採食量が少ないため,兼用利用面積割合の検討が必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:F1子牛の哺育・育成用放牧草地の維持管理法の確立
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成10年度(平成5年~9年)
- 研究担当者:原島德一,西田智子,尾上桐子,青木康浩,山崎敏雄