超音波噴霧器を用いた無窓鶏舎内粉塵制御

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要約

フィルタ'等による通常の空気清浄法と比較し、維持管理、設置が容易な超音波噴霧器で重量比2%の植物性油の水溶液を噴霧することで、無窓鶏舎内の粉塵濃度を40~75%低減できる。

  • 担当:畜産試験場 飼養環境部 施設研究室
  • 連絡先:0298(38)8678
  • 部会名:畜産作業技術
  • 専門:農業施設
  • 対象:家禽類
  • 分類:指導

背景・ねらい

鶏舎内で発生する臭気や細菌等が付着した粉塵は、鶏、作業者の呼吸器系等の疾病の原因とされ、これが換気等で舎外へ拡散することにより、悪臭等の環境 問題をも生じさせている。畜舎内の粉塵制御が可能になれば舎内環境は改善され、鶏・作業者だけではなく畜舎周囲環境にも汚染物質の拡散が抑制される。そこ で、超音波噴霧器を用いた粉塵トラップ技術の開発をする。

成果の内容・特徴

  • 超音波噴霧器の特徴は、噴霧粒径を3~75μと7~150μの2段階切り替えが可能で、小型(噴霧ユニット:22×12×15cm)、噴霧粒子に正負2000Vに荷電することができ、駆動電力は12Wである。 図1 のように採卵鶏舎では自動給餌機を移動媒体とすることで、噴霧システムを構築することも可能である。
  • 採卵鶏舎に重量比2%の植物性油(菜種油)の水溶液を、給餌前に1日1羽当たり14g(噴霧器8台、25分間噴霧)を1回噴 霧した。噴霧後では約50%以上粉塵濃度が減少し(P<0.01)、油の効果によって床等からの沈降した粉塵の再飛散が防止され、粉塵濃度が日毎に 減少した( 図2 )。
  • 無窓平飼いブロイラー鶏舎では日中約60%、夜間は約45%粉塵濃度(噴霧は1時間に10分間)が低減した。また、給餌時刻に粉塵濃度が高くなる傾向がある( 図3 )。

成果の活用面・留意点

  • 鶏舎だけではなく、豚舎に対しても活用できる。 2.
  • 噴霧粒径を変えることができるので、疾病予防のための薬剤散布にも使用可能である。
  • 散布方法は、畜舎の換気構造や飼養管理によって変える必要がある。
  • 油を使用するため、その経費がかかる。

具体的データ

図1 自動給餌機に取り付けた超音波噴霧器

 

図2 無窓採卵鶏舎の粉塵濃度の経時変化

 

図3 無窓ブロイラー鶏舎内の粉塵濃度の経時変化

 

その他

  • 研究課題名:畜舎内汚染物質の舎内捕獲技術の開発
  • 予算区分:環境研究(家畜排泄物)
  • 研究期間:平成11年度(平成6年~11年)
  • 研究担当者:池口厚男、長谷川三喜、本田善文
  • 発表論文等:
    1.超音波噴霧器による畜舎内汚染物質の拡散防止、農業技術大系・畜産編追録16号、562の2-562の8、1997。
    2.超音波噴霧器による無窓鶏舎内粉塵制御。1998年度農業施設学会大会講演要旨 564一.565、1998。