黒毛和種肥育牛のフィールド情報を利用した養分要求量推定プログラム
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
肉用肥育牛は高飼料給与水準で長期間肥育される傾向がある。本プログラムは過去の肥育牛の発育記録と肥育素牛導入時月齢、体重等の情報から適正な養分要求量と肥育期間を推定し、飼養コストの削減と環境負荷物質排泄量の削減に資するものである。
- 担当:畜産試験場・飼養環境部・飼養システム研究室
- 連絡先:0298(38)8679
- 部会名:畜産
- 専門:飼育管理
- 対象:肉用牛
- 分類:普及
背景・ねらい
肉用牛、特に黒毛和種を肥育する場合、肉質の向上を期待して高水準の飼料給与量で長期に肥育する傾向がある。生産コストと環境負荷物質排出量を低減するた
めには飼料給与量と肥育期間の適正化が重要である。日本飼養標準による養分要求量の計算は家畜の体重と1日増体量を基礎としているが、一般に生産現場には
体重計が設置されておらず、体重と1日増体量を知ることは困難である。そこで本研究においては子牛市場で得ることができる肥育素牛の月齢、体重などの個体
情報と過去の肥育牛発育データを基に養分要求量とふん尿中窒素排出量等を推定するプログラムを開発する。
成果の内容・特徴
- 過去の肥育牛の発育記録は、3次回帰に当てはめてその係数をプログラムの中に組み込んだ。
養分要求量を知りたい個体の導入時月齢と体重を入力することによって、その個体の月齢体重に近い方から任意の頭数分の係数が抽出され、その平均発育を基に体重と1日増体量を算出して養分要求量を求める。
- 図1には8ヵ月齢で255kgの肥育素牛について計算例を示した。その他に市場名簿で示される血統情報から体格系が類推でき
る場合は大、中、小のいずれかを選択することにより、推定精度を高めることができる。また、特定の生産地に限定したデータを用いた場合は、プログラムを修
正することにより体格系を種雄牛の選択に置き換えることができる。
- 養分要求量は市場出荷時の月齢、体重に相当する要求量、任意の月齢における要求量、入力フォームで示した月齢における1日増体量を変化させた場合の要求量の3種を示すことができる。
- 本プログラムは1日当たりの排ふん量が体重の4%と仮定した場合の1ヵ月当たりと累積排ふん量を示すとともに、養分要求量に
相当する飼料を摂取したと仮定した場合の1日当たりのふん中、尿中窒素排出量を示すことができる。また、平均発育をした場合の適正肥育終了時月齢とその時
点における枝肉構成を示すことができる。
- 本プログラムはWindows95以上で作動するパーソナルコンピュータがあれば、特定のアプリケーションに依存することなしに利用できる。
成果の活用面・留意点
プログラムの一部が「肉用牛経営効率化のための飼養管理ソフト開発」事業(畜産局・肉用牛協会)等に活用されている。枝肉構成推定の基礎データには小型系の記録を含んでいない点に注意を要する。
具体的データ
その他
- 研究課題名:家畜排泄物シミュレーションモデルの開発
- 予算区分:総合的開発[家畜排泄物]
- 研究期間:平9~11年度
- 研究担当者:島田和宏・三橋忠由・竹中洋一・林 孝
- 発表論文等:黒毛和種肥育牛に関する研究情報とフィールド情報を利用した養分要求量推定プログラムの開発.第37回肉用牛研究会(講要),p 9-11 (1999)