黒毛和種、ホルスタイン種及び交雑種(黒毛和種xホルスタイン種)去勢牛の枝肉組織成長

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要約

相対成長式を用いることで屠殺前体重から枝肉組織重量の推定が可能となる。ロイン及びトモバラは、モモやマエより筋肉の発育が遅れる傾向がある。

  • 担当:草地試験場 放牧利用部 産肉技術研
  • 連絡先:0287-37-7811
  • 部会名:草地 永年草地・放牧 畜産
  • 専門:動物栄養 飼育管理
  • 対象:家畜類 肉用牛
  • 分類:研究

背景・ねらい

近年、ホルスタイン種に黒毛和種を交配した交雑種の飼養頭数が増加傾向にある。これに伴い交雑種(黒毛和種×ホルスタイン種)去勢牛を用いた各種肥 育試験が行われてきたが、交雑種の肥育に関しては未だ不明な点が多く残されており、特に枝肉組織の成長に関する報告は少ない。そこで本研究では、ホルスタ イン種、黒毛和種、及び交雑種去勢牛の枝肉解体成績を基に、交雑種の枝肉組織の成長特性を、相対成長式を用い黒毛和種及びホルスタイン種と比較検討するこ とを目的とする。

成果の内容・特徴

  • 解析には体重117kgから893kgの間に分布した黒毛和種212頭、交雑種53頭、ホルスタイン種31頭のデータを用い た。屠殺前体重と各組織重量との間の寄与率はいずれの品種においても高い値を示し、相対成長式を用いての屠殺前体重からの組織重量推定が可能である。交雑 種の屠殺前体重に対する相対成長係数は、筋肉重量では黒毛和種より有意に大きい値であった。交雑種の脂肪重量の相対成長係数は黒毛和種と差は無いが、ホル スタイン種より有意に低い値であった。交雑種の骨重量の相対成長係数はホルスタイン種と差はないが、黒毛和種より有意に高い値であった( 表1 )。 2.
  • 大割部分肉筋肉重量の相対成長係数は、各品種とも体遠位部のモモやマエより体中心部のロイン及びトモバラの値が大きく、体中心部の成長は体遠位部より遅く開始されることがわかった( 表2 )。これは骨重量や脂肪重量においても同様の傾向である。 3.
  • 枝肉組織重量の品種特性を示す最小二乗平均値は、骨重量は品種間に有意差が認められ、ホルスタイン種、交雑種、黒毛和種 の順に多かった。また、交雑種の脂肪重量はホルスタイン種と比較し有意に高いが、筋肉重量では交雑種はホルスタイン種及び黒毛和種と比較し有意に低かった ( 表3 )。この理由は本試験で用いた交雑種は3-10ヶ月齢或いは13ヶ月齢まで放牧育成、或いは粗飼料多給による育成を行ったためであると考えられる。

成果の活用面・留意点

  • 相対成長式を用いることで屠殺前体重からの枝肉組織重量の推定が可能となる。
  • 本試験の交雑種は放牧育成或いは粗飼料多給育成をおこなっており、育成期の栄養条件が枝肉組織の成長に影響を及ぼした可能性があり、推定式を用いる際には留意する必要がある。

具体的データ

表1 各品種における枝肉組織重量の相対成長係数

 

表2 各品種における大割部分筋肉重量の相対成長係数

 

表3 各品種における枝肉組織重量の最小二平均

 

その他

  • 研究課題名:放牧育成牛の発育特性の解明
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(平成4-10年度)
  • 研究担当者:山田知哉,青木康浩,中西直人,山崎敏雄