送風による牛ふん堆肥の乾燥促進
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要約
ハウス型ふん尿乾燥施設では、送風機で乾燥通路上の牛ふん堆肥に送風することにより、堆肥の乾燥が6~8倍に促進される。堆肥の含水率が75%程度以下で効果が現れ、送風角度45度の場合に乾燥効率が高い。
- 担当:草地試験場・放牧利用部・施設工学研究室
- 連絡先:0287-37-7814
- 部会名:畜産
- 専門:農業施設
- 対象:乳用牛
- 分類:普及
背景・ねらい
畜産農家の規模拡大により、家畜排泄物の経営内処理は限界を越え、堆肥化による他用途への利用が求められている。家畜排泄物を堆肥化し、敷き料素材として
再利用するためには、堆肥の水分を病原菌の繁殖を抑える安全な領域まで乾操することが重要である。そこで、堆肥化された家畜排泄物の水分を減少させるため
の効率的な乾燥技術を検討する。
成果の内容・特徴
- 送風による牛ふん堆肥の水分蒸発量は、送風しない場合の6~8倍になり、送風は 上方から乾燥通路に向けて45度の角度で送風した場合に効率が高い(
表1
)。
- 液状の高水分ふん尿では、送風による乾燥の促進効果は明らかではないが、水分が 低下し、空気と接するふん尿の表面積が増加しはじめる含水率75%程度から送風の効果 が現れる(
図1
)。
- 深さ20cm程度の乾燥通路を持つハウス型乾燥施設では、ふん尿の水分が、ある程度 低下する乾燥途中から乾燥通路終点にかけて送風を行うことにより、ふん尿投入側の高 水分ふん尿へ送風を行う場合に比較して、送風機設置台数を低減できる(
図2
)。
- ファン直径の4~5倍の間隔で送風機を設置したふん尿乾燥施設では、送風するこ とにより、乾燥能力の低下する冬季でも家畜の敷き料に利用可能な含水率40%程度まで 堆肥を乾燥することが可能である(
図3
)。
成果の活用面・留意点
- ハウス型ふん尿乾燥施設において水分変動の少ない乾燥堆肥の生産が可能となる。
- 乾燥通路上にある牛ふん堆肥の水分を調べ、含水率が75%より低い堆肥へ送風する ように送風機を設置する。また、過乾燥はハンドリング上に問題を生じるので、必要以上に送風しない。
具体的データ
その他
- 研究課題名:家畜排泄物の敷料等再利用技術の開発
- 予算区分:総合的開発(家畜排泄物)
- 研究期間:平成11年度(平成9~11年)
- 研究担当者:伊藤信雄、梅田直円、阿部佳之、加茂幹男