ラージパッチ抵抗性に優れるシバ新品種「チバラフワン」

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要約

シバ(Zoysia japonica)の新品種「チバラフワン」は国内エコタイプを育種資源に室内検定及び圃場検定により開発されたラージパッチ耐病性(病原菌:Rhyzoctonia solonai)に優れる品種である。 繁殖性及び初冬季緑色保性などの特性にも優れることから、 本品種の利用によりシバの生産と利用場面で環境保全型の無農薬管理が可能となる。

  • 担当:東北農業試験場・草地部・上席研究研究官 千葉県農業試験場・花植木研究室
  • 連絡先:019-643-3565 043-291-9987
  • 部会名:育種
  • 専門:育種
  • 対象:牧草
  • 分類:普及

背景・ねらい

ゴルフ場では、 晩夏から秋期に常発する葉腐病(Rhyzoctonia solani)病原菌によるラージパッチ被害防除のため多量の農薬が散布され、 土壌及び水などの環境汚染を引き起こし社会問題化した。 農薬散布による環境汚染を防止には、 減農または無農薬化が強く求められた。 在来シバは罹病性が高く、 緑色保持性等のシバとしての特性に劣るため、 これらに替わる新品種の開発が必要とされた。 そこで、 東北農業試験場と千葉県農業試験場が共同研究を実施して、 ラージパッチ耐病性系統の開発を行った。 本品種は耐病性に優れ、 繁殖性及び初 冬季緑色保持性等シバとしの利用特性にも優れることから、 種苗生産及び実利用場面で の期待が大きい。

成果の内容・特徴

  • ラージパッチ耐病性が強耐病性品種「メイヤー」に準ずる

    (図1) 。

  • 植物体は「メイヤー」に比べ葉長及び葉幅がやや大きい。 匍匐茎の太さが やや大きいため密度はやや粗である。
  • 春萌芽は「メイヤー」と同程度である。
  • 再生(生育期の匍匐茎の伸張速度)が「メイヤー」より良好なため、 短期間 でターフを形成する

    (図2) 。

  • 秋の葉身の伸長が良好で、 「メイヤー」より秋の草勢が優れる。
  • 秋季の緑色低下が緩慢で、 初冬季緑色保持性が「メイヤー」より優れ、越 冬性は「メイヤー」と同等か優れる

    (図3) 。

成果の活用面・留意点

  • 普及対象地域はラージパッチが常発する千葉県を含む関東地域とする。
  • 耐陰性(遮光率50%での評価試験)が「メイヤー」よりやや劣る傾向を示す ので都市部の被陰地での利用を避ける。

具体的データ

図1 ラージパッチ耐病性の品種間差異

図2 シバ品種の被覆度の変化と品種間差異

図3 秋季から冬期間での葉身緑度の変化

その他

  • 研究課題名:シバの生産性と保全機能に関する選抜手法の開発
    :シバ優良系統の特性解明と病害抵抗性の選抜に関する研究(共同研究)
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成11年度(昭和62年~平成12年)
  • 研究担当者:樋口誠一郎・松村哲夫・米丸淳一・加藤正弘(千葉県農試)・梅本清作(千葉県農試)・藤家梓(千葉県農試)
  • 発表論文等: