微量植物試料からのエライザ法を用いたエンドファイト検出法

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要約

マイクロチューブ用ホモジナイザーを破砕に用いると、数mgの植物試料から効率よく、エライザ法を用いたエンドファイト検定用試料の調製ができ、幼苗の一部からでも感染の有無を盤定することができる。

  • 担当:草地試験場・育種部・育種工学研究室
  • 連絡先:0287-37-7553
  • 部会名:育種
  • 専門:育種
  • 対象:牧草顆
  • 分類:指導

背景・ねらい

エンドファイトは感染植物体に病徴を示さないため、感染の有無を検定するためにはエンドファイト菌糸を検出する方法が必要である。エライザ法によりエンド ファイトが感度よく検出できることはすでに示した(草地飼料作物研究成果最新情報7号,41-42)が、通常用いる乳鉢・乳棒による破砕では、抽出液量が 少ない場合に検定用試料の回収率が悪く、微量試料を扱うには適さなかった。そのため、本研究では試料調製法を検討し、微量試料に適したエンドファイト検出 法を開発する。

成果の内容・特徴

  • エライザ法で用いるエンドファイト検定用試料の調製において、従来、破砕に用いていた乳鉢・乳棒をマイクロチューブ用ホモジナイザーに換えると、小スケールでの破砕・抽出操作の効率が向上し、微量植物試料(数mg)からの試料調製が容易となる(図1)。
  • 破砕に用いたチューブのまま遠心分離を行うため、操作が簡易・迅速化される( 図1 )。 また、ホモジナイザーが電動であるために手への負担が少なく、幼苗のような柔らかい試料の場合、破砕だけであれば一人で1時間に80検体程度の処理が可能である。
  • ペレニアルライグラス幼苗(3-4葉期)を材料とした場合、葉身2cm程度でエンドファイトが検出できるため、幼苗の生育を妨げることなくエンドファイト感染の有無を検定す ることができる( 図2 )。
  • ペレニアルライグラス幼苗では葉の基部側にエンドファイトが多いので、感染の検定サンプルとしては葉鞘又は葉身の基部側を用いる( 図3 )。

成果の活用面・留意点

  • エンドファイト感染の有無を検定した幼苗を種々の目的に利用することができる。
  • 成長した植物体、粉末試料等、エンドファイト菌糸の分布が均一でない試料を検定する場合は、微量なサンプリング箇所に菌糸の存在しない可能性があるため、数枚の葉または数カ所の試料を検定する必要がある。

具体的データ

図1 微量試料からのエライザ法によるエンドファイトの検出手順

図2 ペレニアルライグラス幼苗からのエンドファイト検出結果

図3 感染ペレニアルライグラス幼病の部位別のエンドファイト検出結果

その他

  • 研究課題名:エンドファイトの高精度検出技術の開発
  • 予算区分 :先端技術開発研究[新産業創出]
  • 研究期間 :平成11年度(平成8年~10年)
  • 研究担当者:秋山典昭、月星隆雄、藤森雅博、島貰忠幸、小松敏憲
  • 発表論文等: