エンドファイトのiaaM 遺伝子導入形質転換体の作出

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要約

エンドファイトを植物への有用遺伝子の導入に利用するために、イネ科牧草のネオ ティフォディウム・エンドファイトにiaaM遺伝子(トリプトファンモノオキシゲナーゼ遺伝子 )を導入した形質転換体を作出した。

  • 担当:草地試験場・環境部・作物病害研究室
  • 連絡先:0287-37-7556
  • 部会名:生 産 管 理
  • 専門:作物病害
  • 対象:微 生 物
  • 分類:研 究

背景・ねらい

植物とエンドファイトは共生関係にあるために、エンドファイトに有用遺伝子を取り込んだ形 質転換体を作出し、これを植物へ導入すれば有用遺伝子の発現が予 想される。本研究では牧草のエンドファイトに、植物生長ホルモンIAAの前駆体であるIAM(イ ンドールアセトアミド)産生遺伝子(iaaM遺伝子)を導 入した形質転換体を作出する方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • エンドファイト(Neotyphodium typhinum、チモシー由来)のプロトプラストは、ジャガ イモ煎汁液体培地で 22°C、5-6日間振とう培養して得た菌体をノボザイム234処理すると大量 に得られた。
  • エンドファイトにオリーブこぶ病細菌のiaaM遺伝子(トリプトファンモノオキシゲナーゼ遺伝子、

    図1 )を導入する形質転換体の作出には、ポリエチレングリコール(PEG)を用いる方法がエレクトロ ポレーション法よりも優れていた。

  • 形質転換体のiaaM遺伝子の染色体DNAへのとり込みは、PCR法によるiaaM遺伝子の増 幅により確認した

    (図2) 。形質転換体の培養濾液中には、非形質転換体では認められなかったインドールアセトアミド が産生されていた。また、IAAの産生量も形質転換体で増加していた

    (図 3) 。

成果の活用面・留意点

  • この形質転換体を植物に接種すれば、植物生育が促進されると考えられ、エンドファ イ トを利用した新たな遺伝子導入法となる。
  • この形質転換体については、寄主植物への感染能、家畜毒性アルカロイド産生につ いては 検討が必要である。

具体的データ

図1 エンドファイトに導入したiaaMの組替え体プラスミド

 

図2 形質転換体のPCR法による導入遺伝子の確認

図3 エンドファイト培養濾液の逆相液体クロマトグラフィーによるIAA、IAMの蓄積

その他

  • 研究課題名:新形質付与のためのエンドファイトの機能解明
  • 予算区分 :パイオニア特研(エンドファイト)
  • 研究期間 :平成11年度(平成8年~10年)
  • 研究担当者:Ahmad Yuns(岡山大)、山田哲治(岡山大)、島貫忠幸
  • 発表論文等:ネオティフォディウム・エンドファイトへのiaaM遺伝子形質転換体の作出( 英文)、日植病報、65巻 192-196(1999).
  • 発表論文等:ネオティフォディウム・エンドファイトへのiaaM遺伝子形質転換体の作出(英文)、日植病 報、65巻、192-196(1999).