熱的中性域から高温域における日中の泌乳牛のフリーストール横臥特性

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要約

熱的中性域から高温域における日中の泌乳牛は,給飼柵とファン側に近い給 飼通路側や,列央域のストールでの横臥が多く,飼料へのアクセス,送風,落ち着 き が得られるなどの周囲環境に好適なフリーストールを選択する傾向がある。

  • 担当:草地試験場・資源循環研究グループ
  • 連絡先:0287-37-7805
  • 部会名:飼料利用
  • 専門:飼育管理
  • 対象:家畜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

フリーストール(FS)飼養では,FS数を越える収容頭数飼養が計算上可能といわれている 。だが,どのFSもウシの選択性がなく均一に横臥利用することが 前提である。その前提を検討する基礎資料を得るために,6~8月の日中の各ストール横臥回 数の調査を行いその特性を明らかにする。

成果の内容・特徴

    対頭二列式FS場

    (図1) の 泌乳牛11~15頭について16ストール横臥利用を観察した。すなわち,観察牛にとって熱的中性 域から高温域にあたる6~8月(調査日平均21.5゚C) の任意の50日間のうち,牛群が横臥状態にある13:00あるいは(かつ)16:00の給飼前に行い, 計78回調査し,474の観察数を得た

    (表1) 。表1の横臥観察数について主成分分析を行い,ウシのストール選択因子を計数的に検出し, 各因子の大きさや因子間の相対的重要性を明らかにする。

  • 第一主成分(寄与率27%)は南列(給飼通路側)と北列(ストール通路側),第二主成分 は列央域と列端(同23%),第三主成分(同 18%)は南東域と北西域の各ストール区分別に選択する傾向が認められ,固有ベクトルの絶対 値の大きさから,その横臥利用数が南列>北列,列央域>列端, 南東域>北西域,と検出される

    (表2) 。

  • 熱的中性域から高温域における日中の泌乳牛は,ストール利用が不均一で選択性が あり,給飼柵とファン側に近い南列(給飼通路 側)あるいは南東域や,列央域のストールでの横臥が多く,飼料へのアクセス,送風,落ち着 きが得られるなどの周囲環境に好適なストールを選択する傾向があ る。

成果の活用面・留意点

  • FS飼養におけるストール利用性向上やストール数に対する収容頭数を検討する上での基 礎資料として活用できる。
  • 比較的高温域における日中の横臥観察データであり,ウシにとってストールを選択 しやすい条件下での結果であるので,さらに熱的中性域,1日単位でのフリーストール利用性 の検討が必要である。

具体的データ

図1 フリーストール(FS)場とストール名

表1 ウシ別の各FSの横臥観察数

表2 固有ベクトルと固有値

その他

  • 研究課題名:資源循環を基盤とする乳牛の群管理システムの開発
  • 予算区分 :畜産対応研究[自給飼料基盤]
  • 研究期間 :平成11年度(平成10年~12年)
  • 研究担当者:早坂貴代史・河本英憲・加茂幹男・土肥朋子(富山県新川農改普及セ)
  • 発表論文等:対頭二列式フリーストール飼養における日中の泌乳牛のストール利用性, 日 本家畜管理学会誌,35(3),65-71.2000