フリーストール飼養における乳牛の通路横臥の矯正枠

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要約

通路のみに横臥するフリーストール飼養乳牛をストールに横臥矯正する枠である。給飼柵に設置の橋正枠にウシを入れ,強制佇立後,枠とウシをストールに移動 設置,一定時間横臥させることにより1日でストールに常時横臥するように矯正できる。

  • 担当:草地試験場・資源循環研究グループ,業務二科
  • 連絡先:0287-37-7805
  • 部会名:飼料利用
  • 専門:飼育管理
  • 対象:家畜類
  • 分類:普及

背景・ねらい

フリーストール(FS)牛舎で飼養されるウシの中には,通路に横臥するものもあり, 牛体や乳房が糞尿で汚れ,乳房炎が発症したり,乳頭洗浄に時間がかかる傾向がある。ま た通路表面は硬く,滑りやすいので,横臥時間の低下,床ずれ発生や起臥動作時の肢蹄の 故障などが生じる。そこで常時通路に横臥するウシを1日でストールに横臥するよう矯正 する枠を開発した。

成果の内容・特徴

  • 通路に横臥するウシには,ストールにも通路にも横臥するタイプと通路のみに横臥す るタイプがある

    (表1) 。後者のストールを横臥する場所として全く認識しないウシを ストールに常に横臥するように橋正する枠である

    (図1) 。

  • 通路横臥橋正枠を用いる方法は,一定時間,ウシを給飼場で強制的に佇立させ,横 臥 欲求を高め(強制佇立期),その後,閉じこめられたストール内で一定時間,横臥させ ること(ストール横臥期)により,ストールの快適性を学習させ,常時ストールで横臥 させるように橋正する

    (写真1) 。

  • 使用手順は,強制佇立期に,給飼棚にこの枠を取り付け,その中にウシを後方から 入 場させ,腹部下にベルトを渡し,6時間~半日程度放置させる

    (写真1上) 。その間, 飼料摂取や枠横のコンテナから飲水は可能だが,腹部下のベルトにより横臥はできない。 その後,枠の前脚を短くして,ストールに移動,設置して,ウシを後方から入場させ, 半日程度放置させて

    (写真1下) ,ストールに横臥する学習をさせる。

  • この方法により当場の8頭の通路横臥牛の橋正にすべて成功している。

成果の活用面・留意点

  • ストールにも通路にも横臥するウシには適用できない。
  • ストール横臥期で横臥しないときはさらにストール横臥期を6時間~半日程度延長さ せる。
  • 産前産後3週間程度は,分娩末期,産褥期にあたり,事故の可能性も考えられるので , 矯正は行わない方が望ましい。
  • 矯正中は,通路のふん尿の搬出はできないので,矯正前に行う必要がある。

具体的データ

表1 通路横臥牛の分類、原因と対策

図1 通路横臥矯正枠

写真1 強制佇立期(上)とストール横臥期(下)

 

その他

  • 研究課題名:資源循環を基盤とする乳牛の群管理システムの開発
  • 予算区分 :畜産対応研究[自給飼料基盤]
  • 研究期間 :平成11年度(平成10年~12年)
  • 研究担当者:早坂貴代史・津久井昭、佐藤公久・河本英憲・加茂幹男
  • 発表論文等:1.フリーストール飼養牛における乳牛の通路横臥問題とその解決に向けて家畜の 研究、53(9),955-958.1999
    2.フリーストール飼養牛の通路横臥[全酪新報]
    3.フリーストール飼養牛の通路横臥矯正枠の開発 2000年度日本家畜管理学会春季研究会発表