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傾斜放牧草地で牛の縦歩行や崩壊によって発生する裸地の修復法として、簡易牧柵により牛の行動を制限して牧草播種する修復法と、土壌の表層鎮圧のあと牧草播種する修復法とが、簡便で有効である。
傾斜放牧草地では、地形や牛の縦歩行に起因した円弧状・筋状の裸地が面積2~5m2 の大きさで発生することがあり、これらを放置すれば裸地が連結し草地の荒廃を拡大させる。 しかし、立地条件やコストの面から大規模な土木工事対策はとれない。そこで、傾斜角が15度から25度の傾斜草地で、広さ3m×3m程度までの裸地を対象にした簡易牧柵と土壌表層の鎮圧による簡便な修復法を開発する。
(図1 、
表1 )。完全な禁牧とする必要はない。表層鎮圧法では、冬季の凍上や牛の踏圧でゆるんだ表土を 鎮圧し、播種する。播種草種は、ペレニアルライグラス(PR)とオーチャードグラス(OG)の 単播、PRとOGとケンタッキーブルーグラス(KB)の混播とした。
(表1 、
図2 )。表層鎮圧法では、初年度末19%で、徐々に増加して2年末には54%となり、3年末には簡 易牧柵法と同程度に達した。修復の有効な状態を植被率70%におくと、簡易牧柵法では処理開 始後約2年、表層鎮圧法では3年の期間が必要である。
(図2) 。表層鎮圧法では3年目に混播区・OG区がPR区の植被率と同程度となった。草種構成からみる と短期的には、ペレニアルライグラス単播で植被率が高いが、長期的には、傾斜草地に生育す るケンタッキーブルーグラスの植被率が増加する混播の方が効果的である。