ブタIGF-1受容体遺伝子の構造および多型

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要約

ブタIGF-1受容体遺伝子塩基配列を決定した。そのアミノ酸配列はヒトIGF-1受容体遺伝子と同数(1367アミノ酸)で98.1%の相同性を示す。また、品種内品種間(4品種・12頭)でIGF-1受容体遺伝子には塩基配列の違い(DNA多型)が見られるが、アミノ酸配列は一致している

  • 担当:畜産試験場 育種部 遺伝子制御研究室
  • 連絡先:0298-38-8622
  • 部会名:畜産
  • 専門:育種
  • 対象: 豚
  • 分類:研究

背景・ねらい

インシュリン様成長因子(IGF)は受容体を介して、細胞の増殖・分化を制御していると共に、マウスのノックアウト解析などによって、胎児の発育に大き な影響を与える因子であることが判っている。本研究ではブタにおいて、IGF-1受容体遺伝子の構造の報告がないことから、この遺伝子の構造を決定すると共に、胎児の成長能力が遺伝的に異なるヨーロッパ系(ランドレース・大ヨーク・デュロック)品種とアジア系(メイシャン)品種のブタにおける、IGF-1受容体遺伝子の比較を行うことを目的とする。

成果の内容・特徴

  • ヒトとラットのIGF-1受容体遺伝子を比較し作成したプライマーを用いたPCRによって、ブタのcDNAより約4.2kb の産物が得られた。この産物の塩基配列を決定した結果、1367個のアミノ酸をコードする読み枠が見いだされ、そのアミノ酸配列はヒトと同じアミノ酸数 で、98.1%の相同性を示した。更に、ラットのアミノ酸との比較ではアミノ酸数が3個少なく、95.2%の相同性を示した。
  • 4品種(12頭)のブタでIGF-1受容体遺伝子の塩基配列を比較した。その結果、12カ所で塩基配列の違いが観察された (図1)。しかし、これらの塩基の多様性は、すべてアミノ酸の置換を伴わない塩基の違いであり、比較した12頭全てのIGF-1受容体は同じアミノ酸配列であることがわかった。
  • 塩基配列の多型はIGF-1受容体遺伝子上にほぼ一様に観察され、メイシャンのみで見いだされる塩基(例えば 図1の469のTなど)もあったが、メイシャン固有である多型は見いだされなかった。

成果の活用面・留意点

ブタのIGF-1受容体を解析するためのプライマーを供給することができる。

具体的データ

図1 ブタIGF-1受容体遺伝子翻訳領域の比較

その他

  • 研究課題名: ブタIGF-1受容体遺伝子の構造および多型
  • 予算区分: 経常
  • 共同研究 :プリマハム(株) 基礎研(交流共同研究)
  • 研究期間: 平成6年度(平成3~6年度)
  • 研究担当者: 栗崎純一,水町功子,辻 典子
  • 発表論文等:
    1.ELISAによる加工食品中のホエー蛋白質の定量法、第87回日本畜産学会大会講演要旨, p204 (1993)
    2.特許出願中「ELISAを用いた食品中の乳蛋白質含量の定量分析方法及びその分析用に選別されたモノクローナル抗体及びそのモノクロー ナル抗体の選別方法」 特願平5-256893