Serial No 1509 フィールドにおいて豚の改良を効率的に行うための育種システム

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要約

フィールドにおいて複数の育種農場が共同し,能力評価の基準となる種豚の配置,集合検定場の利用,農場間の精液の交流をおこなうシステムを構築した。このシステムでは農場を越えた遺伝能力の比較が可能となり、豚の改良効率が向上する。

  • 担当:畜産試験場 育種部 計量遺伝育種研究室
  • 連絡先:0298-38-8625
  • 部会名:畜産
  • 専門:育種
  • 対象:行政
  • 分類:行政

背景・ねらい

豚の育種は閉鎖群による系統造成とフィールドにおける種豚改良をその両輪として進められてきた。フィールドの中心である民間ブリーダの種豚は幅広い裾野 を持つことと系統造成に基礎豚を供給する母体でもあることから,その遺伝的改良はわが国の豚育種の基盤として位置付けられる。近年,フィールドにおける種 豚改良では農場間に種豚の交流が少なく,お互いに独立に改良がおこなわれている。育種の効率化には規模の拡大が必要であるが,農場自体の拡大はコスト面か ら難しく,複数の育種農場が共同で育種をおこなうことにより規模拡大を満たす必要がある。 そこでフィールドにおいて複数の育種農場が共同して豚の改良を効率的におこなう育種システムを構築する。

成果の内容・特徴

  • フィールドにおける農場を越えた評価のために,能力評価の基準となる種豚(リファレンスサイア)の配置,あるいは集合検定場を利用するシステムを構築した。これにより選抜の正確度が向上する。検定に参加する農場が増えると選抜の正確度も上昇する (図1, 表1)。
  • 複数の育種農場が共同で育種をおこなうシステムを構築した。これにより単一農場でおこなう場合に較べてその改良効率が改善される。農場間の種豚の交流方法としては精液の交流がコスト的にも優れる (表2)。

成果の活用面・留意点

  • このシステムによりフィールドにおける種豚の改良効率が向上する。さらに,これまでの県単位の閉鎖群育種においても県域を越え共同でおこなうことにより改良効率が向上する。
  • 生体の種雄豚により交流をおこなう場合は,伝染病などの衛生面に留意する必要がある。

具体的データ

表1 検定方式と頭数配置

 

図1 検定方式と育種価の正確度

 

表2 複数育種集団における改良効率の比較

 

その他

  • 研究課題名: 豚のフィールドデータを活用した育種システムの開発
  • 予算区分: 経常
  • 共同研究 :プリマハム(株) 基礎研(交流共同研究)
  • 研究期間: 平成12年度(平成9年~12年)
  • 研究担当者: 石井和雄・佐々木修・古川 力
  • 発表論文等: 第70回養豚学会シンポジウム発表ほか,4大会にて発表