成長に伴う産卵ウズラおよびニワトリの脛骨内部構造の変化
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要約
ニホンウズラおよびニワトリ雌鳥の産卵は、脛骨両骨端の成長板が消失し、骨髄腔内に骨髄骨が発現して始まる。性成熟後の脛骨の骨密度(ヒドロキシアパタイトの密度)には性差があり、雌鳥の値は産卵開始後、さらに高くなる。
- 担当:畜産試験場 生理部 生体機構研究室
- 連絡先:0298-38-8646
- 部会名:畜産
- 専門:生理
- 対象:ウズラ・産卵鶏
- 分類:研究
背景・ねらい
家禽の成長・発育を正しく評価して、これらに適正な生産をさせるため、本研究では、家禽の成長に伴う肢骨内部構造の変化とその生産の変換点が合致する時期を求め、飼養管理に必要な情報を得る。
成果の内容・特徴
- ニホンウズラ(家禽系)雌鳥の孵化後から50日齢までの、軟X線透過像による脛骨の内部構造は、遠位端(30日齢)、次いで近位端(35日齢)の成長板が消失し、長軸方向の伸長が停止した後、骨髄腔に骨髄骨が発現して(40日齢)
(図1)、産卵が始まった。
- ニホンウズラ脛骨の骨密度(ヒドロキシアパタイトの濃度)は、孵化時から産卵開始時まで、雌雄ほぼ同様に増加した
(図2,
3)。これは肢骨の物理的強度を付与する現象である。
- 産卵開始後(40日齢以降)、雌鳥の値が雄鳥のそれを上回り、性差がみられた。その傾向は、測定部位が異なっても同様であった
(図2,
3)。これは、卵殻の材料となるカルシウムが肢骨に一時貯蓄されることによる現象である。
- ニワトリ(横斑プリマスロック種)の雌鳥でも、脛骨長軸方向の伸長が停止した後(120日齢)、骨髄骨が発現して(180日齢)、産卵が始まった。骨密度は産卵開始後、さらに高くなった
(図4)。長軸方向の伸長停止から産卵開始までの日数は、ニワトリが60日、ニホンウズラが5日であり、ニワトリはやや時間を要する傾向にあった。
成果の活用面・留意点
生体での脛骨内部構造はと体骨のそれとほぼ同様に把握できるが、生体の骨密度は脛骨に付着する筋肉や結合組織の影響で、と体骨より精度が低下する。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 家畜・家禽の成長に伴う肢骨内部構造の変化
- 予算区分: 経常
- 研究期間: 平成12年度(平成10年~12年)
- 研究担当者: 西村宏一,宮本 進,山岸規昭
- 発表論文等:
1.
西村ほか, 1999, うずらの成長に伴う脛骨の内部構造と骨塩密度の変化, 第95回日本畜産学会大会講演要旨:101
2.西村ほか, 1999, うずらの脛骨における骨髄骨の発現, 日本家禽学会報 36(春季大会号):24
3.西村ほか, 1999, 成長に伴う雌ニワトリの脛骨内部構造の変化, 日本家禽学会報 36(秋季大会号):19