豚におけるフィターゼの効果的利用法
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要約
フィターゼ添加飼料を豚に給与する前に、2~3時間加水処理することにより、加水処理をしない場合に比べて、リンの消化率が約20%向上する。また、フィターゼ添加飼料にクエン酸を加えることにより、フィターゼ単独添加の場合に比べて、リンの消化率が約10%向上する。
- 担当:畜産試験場 栄養部 中小家畜栄養管理研究室
- 連絡先:0298-38-8656
- 部会名:畜産
- 専門:動物栄養
- 対象:豚
- 分類:指導
背景・ねらい
豚からのリン排泄量を低減するために、フィチンリン分解酵素であるフィターゼの飼料への添加が有効であることが国内外の研究から明らかにされている。
フィターゼの利用を積極的に進めるためには、コストダウンを図るとともに、フィターゼの効果的な利用法を開発する必要がある。
そこで、豚におけるリンの消化率を高めることを目的に、フィターゼ添加飼料の加水処理およびフィターゼとクエン酸との併用の効果を検討する。
成果の内容・特徴
-
フィターゼ添加(750単位/飼料kg)飼料を肥育豚に給与する前に、2~3時間加水処理(平均水温
約20°C、加水量は飼料量の1.2倍)をすることにより、加水処理をしない場合に比べて、リン
の消化率が、約20%向上する。しかし、1時間の加水処理では、リンの消化率の向上は期待で きない
(表1)。
- フィターゼ添加(500単位/飼料kg)飼料に、クエン酸を0.8%添加することにより、フィターゼ 単独添加の場合に比べて、リンの消化率が約10%向上する
(表2)。
成果の活用面・留意点
- 飼料への加水により、特に夏季における飼料の変敗が懸念される。また、冬季には水温が低いため、フィターゼ添加飼料の加水処理によるリン消化率の向上が低く抑えられる可能性
がある。
- クエン酸に代わるより安価な酸類についての検討が必要である。なお、酸類の使用にあたっ ては、鉄製の給餌器等の腐食に注意する必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:豚におけるリン排泄量の低減技術の開発
- 予算区分:総合的開発 (家畜排泄物)、経常
- 研究期間:平成12年度 (平成6年~(11)~12年)
- 研究担当者:斎藤 守、村上 斉、山崎 信
- 発表論文等:
1.豚におけるフィターゼの利用によるリン排泄量の低減とフィターゼの効果的利用法. 栄養生理研報,42(2), p141-154(1998)
2.Effect of soaking treatment on the digestibility of
phosphorus in pig fed diet supplemented with microbial
phytase. 8th WCAP, Contributed papers,