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イタリアンライグラスの細胞質を戻し交雑法を用いてトールフェスク(和名:オニウシノケグサ、俗称:ケンタッキー31フェスク)に導入し、花粉を出さない(雄性不稔)トールフェスクを開発した。このトールフェスクは、正常トールフェスクとの交配により種子が得られるが、その後代植物は花粉を出さない。
現在、花粉症が大きな社会問題となっているが、その原因の一つはイネ科植物である。イネ科植物の中で、トールフェスク(学名:Festuca arundinacea Schreb、和名:オニウシノケグサ、俗称:ケンタッキー31フェスク)は、牧草地だけではなく「道路法面保護・緑化」や「公園緑地」などで、広く全国的に利用され、また、至る所で野生化している。トールフェスク花粉は、1971年に花粉症のアレルゲンとして報告されており、土留め目的で用いたトールフェスクが原因となって、花粉症が集団発生した例があり、トールフェスクの花粉対策が強く求められてきている。 今回、これらの要請に応えて、花粉を出さない(雄性不稔)トールフェスクの開発を行った。
今回開発した雄性不稔系統は、道路のり面や公園で利用できる「花粉症を起こさないトールフェスク」の母材として有望である。 この雄性不稔系統を利用するためには、種子収量向上のための育種操作が必要である。