浅層に注入できる多条型スラリーインジェクタ
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要約
土壌の浅層にスラリーを注入することにより、臭気と地下浸透の抑制をねらったトラクタ直装の多条型インジェクタである。注入爪が左右に回転するので旋回しながらスラリーを
注入できる。
- 担当:草地試験場・飼料生産利用部・栽培工学研究室
- 連絡先:0287-37-7801
- 部会名:生産管理
- 専門:機械、作業
- 対象:牧草類、農業機械
- 分類:研究
背景・ねらい
畜産農家から排出されるスラリーが圃場表面に散布されたり、従来のスラリーインジェクタにより土中施用されると臭気成分の揮散や地下浸透が生じ、悪臭問題や地下水汚染を引き起こす一因となる。スラリーの圃場還元技術として、スラリーの臭気成分の揮散を防ぎ、 さらに地下浸透も少ない浅層土壌に注入可能なスラリーインジェクタを開発する。
成果の内容・特徴
- 土中10cm付近にスラリーを注入して、臭気成分の揮散や地下浸透を抑制する目的の浅層多条型スラリーインジェクタである
(図1)
。
- フレームにゲージホイールと1500kgの重錘を取り付けることにより、圃場の凹凸による本体の上下動を抑え、土中10cm付近にスラリーを注入できる。
- 注入爪は平行リンクとバネでフレームに取り付けられており、石礫に接触した場合には独立して上方に動いて石礫を回避する
(図2)
- スラリーインジェクタは直装型で、注入爪が左右に22°回転するので、土中に爪を挿入したまま旋回することができる
(図3
、図4
)。
- ディストリビュータによりバキュームタンカから送り出されるスラリーを7条に分配できる。
- 土中にスラリーを注入するため大気への臭気成分の揮散を軽減することができ、さらに耕盤より上にスラリーを注入するので地下浸透を軽減できる。
成果の活用面・留意点
- 浅層土壌に注入するため牽引抵抗が少なく、多条にスラリーを施用できるため、従来のインジェクタより高能率な作業ができる。
- 機関出力62.5kW(85PS)以上のトラクタを用いることが望ましい。
具体的データ




その他
- 研究課題名:液状ふん尿の臭気抑制圃場還元技術 浅層型スラリーインジェクタによる環境負
- 予算区分 :経常、環境研究[畜産エコ]
- 研究期間 :平成12年度(平成9年~11年、平成12年~16年)
- 研究担当者:住田憲俊、澤村 篤、糸川信弘
- 発表論文等:浅層型スラリーインジェクタの改良、第36回農業機械学会関東支部年次報告、56-57、2000