トウモロコシ及びソルガムのすす紋病菌は菌株間で寄生性が異なる
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要約
各地から採集したトウモロコシおよびソルガムのすす紋病菌には寄生性に差異があり,トウモロコシに寄生性を示す菌株とソルガムに寄生性を示す菌株が存在する。
- 担当:草地試験場・環境部・作物病害研究室
- 連絡先:0287-37-7556
- 部会名: 生産管理
- 専門:作物病害
- 対象:飼料作物類
- 分類:研究
背景・ねらい
トウモロコシ,ソルガムのすす紋病は生育後期に発生して収量・品質を著しく低下させる重要病害で,育種においても本病抵抗性が重視されている。病原は糸状
菌Exserohilum
turcicumで,海外でトウモロコシに4つの抵抗性遺伝子とそれに対応したレースが報告されている。しかしソルガムを含めた寄生性の検討は少なく,特
に日本国内に分布する本菌の寄生性の差異は不明である。そこで各地から採集した菌株についてDNAレベルでの差異と寄生性の違いを比較した。
成果の内容・特徴
- 国内各地から採集したトウモロコシのすす紋病菌(宮崎,長野,北海道各地より計8菌株),ならびにソルガムのすす紋病菌(岩手,栃木,長野,熊本,宮崎,沖縄より計6菌株,および乾草より分離した2菌株)を供試した。
- DNAレベルでの比較を各菌株のrDNA ITS領域のPCR-RFLPで行ったところ,トウモロコシ由来菌とソルガム由来菌の間に差異は認められず,同一種内であると推察された
(図1)
。
- 圃場およびガラス室内での接種試験により,トウモロコシ(合計7品種・系統),ソルガム(合計9品種・系統)に対する寄生性を比較した結果,トウモロコシ由来菌はトウモロコシに,ソルガム由来菌はソルガムに寄生性を示し,両者間に寄生性の差異が認められた
(図2)
。
成果の活用面・留意点
- 本病の発生生態の解明ならびに抵抗性育種の基礎的知見として利用できる。
- トウモロコシ由来菌,ソルガム由来菌それぞれのレースの有無,両者の交配による寄 生性の変化等について,さらに検討する必要がある。
具体的データ


その他
- 研究課題名:長大飼料作物のすす紋病の寄生性分化と抵抗性機作の解明
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成8~12年度
- 研究担当者:菅原幸哉,大久保博人,月星隆雄,島貫忠幸,御子柴義郎
- 発表論文等:トウモロコシおよびソルガムすす紋病菌 (Exserohilum turcicum)の宿主範囲および病原性について,日植病報66(3),274-275(講演要旨)