品種選定によるスーダングラスの硝酸態窒素濃度の低減効果
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要約
市販されているスーダングラスについて、硝酸態窒素濃度の低い品種を選定した。低蓄積性の品種を利用し、刈り取り時期を遅らせることで、より硝酸態窒素濃度の低いスーダングラスを生産できる。
- 担当:草地試験場・環境部・作物栄養研究室
- 連絡先:0287-37-7559
- 部会名:生産管理
- 専門:肥料
- 対象:飼料作物類
- 分類:指導
背景・ねらい
スーダングラスは乾草、青刈り利用だけでなく、近年はサイレージ利用を目的とした夏季ロールベール用の主要な草種となっている。しかしながら、ソルガム類
は、多窒素施用条件下で栽培した場合、トウモロコシに比べて硝酸態窒素(NO3-N)濃度が高くなりやすく、特にスーダングラスは著しく高くなりやすい。
そこで、品種選定を利用したスーダングラスのNO3-N濃度の低減化について検討する。
成果の内容・特徴
- スーダングラスとして市販されている13品種には、NO3-N濃度の品種間差が存在する
(図1)
。年次および施肥の異なる栽培条件下においても、品種間のNO3-N濃度には高い相関関係が認められる
(図2)
。「HS9401」のNO3-N濃度は他品種の平均値と比較して26~48%低く、また、収量も比較的高い。
- スーダングラスのNO3-N濃度は、乾物集積により栄養生長期以降、経時的に低下し、開花期には、栄養生長期に比べて約
50%低下する。「HS9401」のNO3-N濃度は栄養生長期以降、他品種の平均値と比較して低く、播種後85日目(開花期、晩生品種は未出穂)におい
ては42%低い
(図3)
。
- 以上のことから、低蓄積性の品種を利用し、さらに刈り取り時期を遅らせることで、よりNO3-N濃度の低いスーダングラスを生産できる。
成果の活用面・留意点
- NO3-Nの蓄積が懸念される条件下でのスーダングラス栽培において参考となる。
- 低蓄積性の品種においても急性中毒の基準とされる乾物あたり0.2%を上回ることもあるため、収穫物のNO3-N濃度の診断ならびに過剰な施肥の防止が重要である。また、刈り取り時期を遅らせた場合の飼料品質の低下に注意する。
具体的データ



その他
- 研究課題名:長大型飼料作物における硝酸態窒素蓄積機構の解明と低減化栽培技術の確立
- 予算区分 :総合的開発〔新用途畑作〕、作物対応研究〔転作作物〕
- 研究期間 :平成12年度(平成10年~13年)
- 研究担当者:須永義人・原田久富美・畠中哲哉