搾乳ロボットによる終日自由搾乳運用事例

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

草地試験場牛舎に設置された2ボックス型の搾乳ロボットで、ロボットの改良を行いつつ、7~11頭を供試して終日自由搾乳運用を試みた結果、2回搾乳と比較し、搾乳回数と乳量が増加する傾向が得られた。

  • 担当:草地試験場・飼料生産利用部・調製工学研究室
  • 連絡先:0287-37-7803
  • 部会名:飼料利用
  • 専門:機械作業
  • 対象:農業機械・家畜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

搾乳ロボット導入は40件以上に達し、今後急速に普及すると予想される。ロボット搾乳の最大の特徴は、ロボットを最大限に利用するために終日稼動させ、 フリーストールから自発的に訪問してくる牛を随時搾乳する「終日自由搾乳」を前提としている点である。そのため、牛を適切な搾乳間隔で訪問させる施設配置 や飼養管理方法の確立が必須である。またロボット搾乳に適さない牛への対応、管理作業時間の短縮など改善すべき課題が多い。そこでロボットによる終日自由 搾乳を試みて、事例データの収集を行う。

成果の内容・特徴

  • ロボット入口部・牛舎内部に一方向ゲートを設置し、牛舎を休息エリア、搾乳エリア、採食エリアに分け、ロボットを中心とした牛群行動制御を検討する (図1) 。洗浄時間・集乳時間を除いた1日20時間程度、ロボット室への入室可能として終日自由搾乳運用を行った。ロボットの乳頭位置検出センサ・搾乳機装着アル ゴリズムや、ミルクフィルタ部・バルククーラ部に自動切換え機構を設置し、生乳配管の洗浄方法を改良し、終日搾乳時の省力化をすすめた。
  • 表1 にロボット供試牛データを示す。本事例では、供試頭数は16頭で、運用時平均頭数は8頭である。ロボットによる自動装着困難な牛や、ロボットへの自発的入 室行動をしないロボット不適格牛は3頭であった。ロボット搾乳馴致には個体差が大きいものの、未経験牛で1週間程度要する。ロボット経験牛は数日内で速や かに馴致可能である。
  • 運用時、不適格牛を除いた牛の自動装着率は95%以上であった。搾乳所要時間は乳量・搾乳速度に左右されるが、搾乳時の ロボットストール占有時間は平均11分/回/頭であった。終日自由搾乳時の平均搾乳回数は2.4回で、2回搾乳時と比較した牛群での乳量増加率は7%で あった (表2) 。本事例での疾病は、蹄病・乳房炎が見られ、特に乳房炎はのべ7頭で発症した。ロボットとの関連は不明である。

成果の活用面・留意点

  • ロボット運用の基礎的データが得られた。ロボット適応牛の選択や、搾乳機の設計改良に応用できる。
  • 草地試験場牛舎での運用事例であり、ロボットの機種や供試頭数等によって具体的な数字は異なる。

具体的データ

図1 ロボット牛舎レイアウト

表1 ロボット供試牛データ

表2 ロボット終日運用試験結果(まとめ)

その他

  • 研究課題名:搾乳ロボット性能向上と普及・定着条件の解明
  • 予算区分 :連携実用化(官民交流研究)
  • 研究期間 :平成12年度(平成10~12年度)
  • 研究担当者:喜田環樹・市戸万丈・松尾守展・天羽弘一