ペパーミント給与乳牛におけるl-メントールの動態
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要約
ペパーミントの主成分であるl-メントールは去勢牛での吸収率が94.5%と高く,摂取量の81%は尿に排出される。また,乳牛へのペパーミント給与を停止しても,
1週間程度は牛乳へ移行する。
- 担当:草地試験場・飼料生産利用部・乳牛飼養研究室
- 連絡先:0287-37-7806
- 専門:草地・飼料利用
- 対象:動物栄養
- 分類:飼料作物類
背景・ねらい
ハーブを乳牛に給与すると,牛乳の風味を向上させ,抗酸化性等の機能性を牛乳に付与できることが確認されている。しかし,ハーブ成分の牛体内での動態は
明らかにされていない。そこで,ハーブとして乾燥ペパーミントを供試し,ハーブ給与去勢牛におけるハーブ成分の体内出納と,乳牛へのハーブ給与停止後の牛乳中ハーブ成分の濃度変化から,その動態の一端を明らかにする。
成果の内容・特徴
乳用種去勢牛に乾草と濃厚飼料を給与するとともに,1日あたり200gのペパーミントを与えて,出納試験を行い,ペパーミントの成分であるl-メントー
ルの体内出納を調べた。また,泌乳牛に飼料のほかに1日あたり1kgのペパーミントを10日間給与し,ペパーミント給与停止前(0日後)、2日後、4日後
および8日後の牛乳を採取
し,l-メントールの牛乳中の濃度を調べるとともに,乳量,乳成分を測定した。
- 去勢牛では,摂取l-メントールの5.5%が糞に排出され,94.5%は体内に吸収されるが,80.6%は代謝されずに尿に排出される
(図1)
。
- 牛乳中l-メントール含量は、ペパーミント給与終了後2日後までに著しく低下することから,ペパーミント給与中はl-メントールが牛乳に移行することが分かる
(図2)
。
- ペパーミントの給与を停止しても,1週間程度は牛乳に?-メントールが少量ではあるが移行する
(図2)
。
- ペパーミント給与停止後の乳量,乳成分に大きな変化は認められない
(図3)
。
成果の活用面・留意点
- 本成果は,乳牛に給与したハーブ成分の牛乳への移行メカニズムを明らかにするための研究に有用な情報となる。
- 去勢牛に吸収されたl-メントールのうち,尿に排出されなかったものが代謝されたのか,体内に蓄積されたのかは明らかではない。
- ハーブ類の乳牛への給与が飼料の消化,第一胃内発酵および代謝に及ぼす影響は明らかではない。
具体的データ



その他
- 研究課題名:牛乳中の脂質成分に関与する風味・機能性と飼養条件との関係解明
- 予算区分 :畜産対応研究「自給飼料基盤」
- 研究期間 :平成12年度(平成10年~12年)
- 研究担当者:安藤貞・西田武弘・細田謙次・石田元