放牧草地での乾物採食量と窒素収支を推定する表計算シート
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要約
表計算シートにより、放牧草地での搾乳牛の乾物採食量と草地の窒素収支の大まかな推定をする。必要なデータの多くは、飼料成分表等を参照することにより利用できる。
- 担当:草地試験場・生態部・草地生態システム研究室
- 連絡先:0287-37-7225
- 部会名:永年草地・放牧
- 専門:生態
- 対象:牧草類
- 分類:指導
背景・ねらい
搾乳牛の放牧では、牛舎内での飼料給与も行われることから、草地での採食量把握が困難である。
また、施肥管理においては、これら飼料由来の排泄物が草地に還元されることを考慮する必要がある。
そのため、草地での採食草量と、窒素の収支を推定して草地の状態を把握しようとする。
成果の内容・特徴
- 草地と放牧牛をめぐる物質とエネルギーの動きから
(図1)
、日本飼養標準等の家畜栄養学的知見に基づき、草地での搾乳牛の乾物採食量と、草地の窒素の収支を求める表計算シートである。
- 必要なデータは、肥料および堆肥施用、牛舎内で給与する飼料、生産される乳量と乳脂率、放牧草地の草に関する情報、および1日の放牧時間であり
(表1)
、多くは飼料成分表などのデータを参照できる。
- 草地での窒素収支と乾物採食草量について、実測値と日本飼養標準に掲載された飼料成分表等を参照して計算した値との間には、約1割程度の相違が見られるが、簡便な推定方法として有効である
(表2)
。
成果の活用面・留意点
- 放牧草地ごとの、搾乳牛の採食草量と草地の窒素収支の把握に利用できる。
- 必要データの多くは飼料成分表等を参照できるが、堆肥や草地の草の成分は、条件によって大きく変動すると予想されるので、分析値を用いることが望ましい。
具体的データ



その他
- 研究課題名:土-草-家畜システムの物質収支予測法の開発
- 予算区分 :畜産対応研究〔自給飼料基盤〕
- 研究期間 :平成12年度( 平成10年~12年)
- 研究担当者:高橋繁男、坂上清一、中神弘詞
- 発表論文等:Ntrogen balance for some types of grazed grassland in Japan, Proceedings of the International Workshop on Opening for Low-input Sustainable Forage Production and Use. p 147-154、1999.