砂糖を主材料とした誘引液を用いたイエバエの誘殺器

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

殺虫剤を使用せず、砂糖を主体とした誘引液を入れた、プラスチック容器で作成したイエバエの誘殺器は、1誘殺器・1日あたり500~600個体を誘殺できる。

  • 担当:草地試験場・環境部・害虫制御研究室
  • 連絡先:0287-37-7557
  • 部会名:永年草地・放牧
  • 専門:飼育管理
  • 対象:昆虫類
  • 分類:普及

背景・ねらい

イエバエの発生は、病原性大腸菌O157の問題、地域住民に与える不快感、消費者の家畜飼育環境衛生への関心の高まりなどから、重要な問題となってい る。一方、殺虫剤による防除は、イエバエに薬剤への感受性の低下をもたらし、十分な効果が上がらない場合も多く、畜産物や環境に及ぼす影響などの問題点も ある。防除には清掃等の衛生管理を含む、いくつかの防除法を組み合わせた総合的防除が重要である。その防除法のひとつとして、殺虫剤を使用せず、低コスト の誘殺器の開発をめざした。

成果の内容・特徴

  • 成虫の誘引液は白砂糖500g、黒砂糖100g、ドライイースト1gに水を加えて2リットルにして、攪拌して作る。1~2日おいて発酵した後に23~27%程度の界面活性剤(台所用合成洗剤)を1cc加える。
  • 誘殺器は市販の直径15cm、高さ9cmの円筒形の透明なプラスチック容器で作成する (図1) 。ふたの中心部を直径12cmの円形に切り取り、ハエの逃亡防止のため、厚さ約0.5mmのポリエチレンフィルムで内側に深さ5.5cmの壁を作る。この 容器に内側の壁の下端から約1cm下まで誘引液(約350cc)を入れる。誘殺されたハエは網等で取り除き、誘引液の減少分は補充し、誘殺力が低下したら 新しいものと取り替える。
  • 農家の牛舎に設置すると、1容器・1日あたり平均500~600個体のハエが誘殺できる (図2) 。誘殺数は誘殺器の設置場所によって異なり (図3) 、ハエが多く見られるところに設置する。
  • 1.5m以上の高さでは誘殺数が減少するので、誘殺器は床などの低い位置に設置する。
  • 1誘殺器あたりの誘引液(約350cc)代は約22円である。

成果の活用面・留意点

  • イエバエの防除に使用できる。
  • 誘引液に合成洗剤を入れすぎると発酵しなくなり、誘殺数が少なくなる。

具体的データ

図1 誘殺器の見取り図(左)と断面図(右)

図2 農家におけるイエバエ成虫誘殺例

図3 牛舎内外の通路等に置いた誘殺器に誘殺されたイエバエ成虫数

その他

  • 研究課題名:生物特性を利用した衛生害虫の発生制御技術の開発
  • 予算区分 :総合的研究(家畜)
  • 研究期間 :平成12年度(平成6年~11年)
  • 研究担当者:神田健一