小型牧柵柱施工機
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要約
小型牧柵柱施工機は,牧柵柱の打ち込み,抜き取りが可能な装置である。180cm程度の金属製牧柵柱に適応し,15°までの傾斜地で作業できる。牧柵柱1本あたりの打設時間は,慣行作業より増加
するが,作業負荷は軽減される。
- 担当:草地試験場・放牧利用部・施設工学研究室
- 連絡先:0287-37-7814
- 部会名:永年草地・放牧
- 専門:機械 作業
- 対象:家畜類
- 分類:普及
背景・ねらい
行動障壁として多用されている有刺鉄線牧柵の設置は、鉄柵柱を人力で打ち込むため、過重な作業が強いられる。また,設置後は資材が経年的に劣化するため維持管理や更新に多大な労力を要している。そこで,省力的に牧柵柱の打設,抜き取りが可能な小型牧柵柱施工機を開発する。
成果の内容・特徴
- 本装置は,杭打機,ウィンチおよび走行車で構成されている(
表1
,
図1
)。杭打機は,打設用シリンダの上下方向の動きによる打撃と杭打機の自重とで牧柵柱を打ち込む。180cm程度の金属製牧柵柱に適応し,アダプタを交換することで断面形状の異なる牧柵柱を打設できる。また,ウィン
チは,杭打機の昇降と牧柵柱の抜き取りを行う。
- 本装置による打設および抜き取り作業は,2人または1人で行う。打設作業では,作業者がアダプタに牧柵柱を固定し傾倒等を調整した後,目的の深さまで打ち込む。抜き取り作業は,ウィン
チ先端に装着したフックを牧柵柱に掛け,引き上げる。
- 15°までの傾斜地では,等高線方向,縦断方向の作業が可能である。
- 機械で打設した牧柵柱の傾倒角度は,1.1°以下,打込深誤差は,1.7cm前後で,慣行手打ち作業と比較して同等の精度である
(表2)
。
- 牧柵柱1本あたりの抜き取り時間は,慣行手打ち作業と比較して同程度である。また,牧柵柱1本あたりの打設時間は,約60秒であり慣行手打ち作業と比較して20秒程度余分に時間を要する
が,作業負荷は軽減される
(表2)
。
成果の活用面・留意点
- 牧柵柱の設置,更新等の管理作業が省力化される。
- 15°を超える傾斜地では,転倒等の事故を防ぐため作業を避ける。
具体的データ



その他
- 研究課題名:牧柵の省力的設置、更新技術の開発
- 予算区分 :畜産対応研究(自給飼料基盤)
- 研究期間 :平成12年度(平成10~12年)
- 研究担当者:梅田直円,伊藤信雄,阿部佳之,福重直輝,蛸島広志(北原電牧),成田和義(北原電牧)
- 発表論文等:牧柵施工機の開発,第60回農業機械学会年次大会講演要旨,157-158,2001