養豚飼料の粉砕、フィターゼ添加による窒素、リン及び糞排泄量の低減
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要約
市販の養豚飼料を2mm以下の粒度に粉砕すると粗蛋白質(窒素)の消化率は著しく改善される。また、フィターゼの添加によりリンの消化率は著しく改善される。両者の併用により、豚からの窒素、リン、糞排泄率(糞量/飼料摂取量)は低減される。
- キーワード:豚、粉砕粒度、フィターゼ、消化率、リンと糞の排泄量
- 担当:畜草研・畜産環境部・排泄物制御研究室
- 連絡先:0298-38-8667
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
環境負荷物質である窒素、リン等の豚からの排泄量を低減することは現在の我が国の畜産が抱える重要な課題である。そこで、フィターゼ添加および飼料の2mm以下の粉砕による窒素、リン等の消化率改善効果や糞排泄率への影響について検討を行った.
成果の内容・特徴
- 市販の肉豚肥育前期飼料(C)、およびそれを粉砕して2mmのふるいを通した飼料(G)、さらにそれぞれの飼料にフィターゼ(750IU/kg)を添加した飼料(CP,GP)、合計4種を消化試験に供した。
- 供試豚は平均体重60kgのLWD種雌8頭で、各飼料に2頭ずつ割り振る実験を2回繰り返した。飼料給与量は体重の3.5%とし、朝夕2回に分与し、予備期7日間、採糞期3日間として酸化クロム法による消化率を測定した。
- 市販飼料(C)は2.36mm以上の大きな粒度が約9%存在するが、C飼料を粉砕したG飼料では全く認められない(図1)。
- 図2に示すとおり、飼料の2mm以下の粉砕、フィターゼ添加で粗蛋白質消化率は著しく改善され、糞中への窒素排泄量は25%程度低減できる。
- 図3で示すように、リンの消化率においてはフィターゼ添加で著しく改善される。糞中へのリン排泄量はフィターゼ添加、飼料の2mm以下の粉砕で33%程度低減できる。
- 糞排泄率(糞量/摂取飼料)は、飼料の2mm以下の粉砕、フィターゼの添加によって著しく低下し(図4)、糞排泄量は20%程度低減される。
- 以上の結果より、粉砕粒度を2mm以下にし、フィターゼを添加することによって粗蛋白質(窒素)及びリンの消化率を改善し、糞中の窒素、リンの排泄量および糞排泄量を低減できる。
成果の活用面・留意点
- 自家配農家に有効な技術である。
- 飼料配合時に、原料の2mm以下の粉砕を行う。
具体的データ




その他
- 研究課題名:豚における亜鉛等ミネラルの利用率改善技術の開発
- 予算区分:エコシステム
- 研究期間:2000~2001年度
- 研究担当者:高田良三、市川隆久、山崎正史、甘利雅拡