乳牛による成形ゴムチップマット床材のフリーストール利用性
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
硬く締め固められたフリーストール床材の上に適度な柔らかさと弾力性がある成形ゴムチップマットを敷設すると、ストールの利用時間が増加し、通路での活動が減少する。
- キーワード:飼育管理、乳用牛、フリーストール床材、成形ゴムチップマット、ストール利用
- 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・資源循環研究チーム
- 連絡先:0287-36-7004
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
コンクリートや硬く締め固められた床材を利用しているフリーストール(FS:牛床)では、乳牛の利用性が悪く通路に横臥するウシが出現し、牛体の
汚染や乳房炎発症などが問題になる。近年は、適度の弾力性をもち快適性の高い各種のゴムチップマットが市販利用されているが、FSの利用性や行動に及ぼす
影響は明らかにされていない。そこで、硬く締め固められた牛床の上に成形ゴムチップマットを敷設し、ホルスタイン種泌乳牛15頭を用いて床材の違いが行動
様式に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 成形ゴムチップマットは、廃タイヤのひじき状チップゴムをウレタン樹脂で厚さ32mmに成形し、ポリエステル不織布で被覆されている。
- ストールエリアでのウシの行動時間は、成形ゴムチップマット床材(R期)は硬く締め固められた粘土質土間床材(S期)に比べ、FS総利用時間(横臥+全肢佇立+前肢佇立A・B)が有意に増加し、その内、有意ではないが横臥時間が増加し、全肢佇立時間が有意に増加する(表1)。
- 通路エリアでのウシの行動時間は、R期はS期に比べ、佇立や移動時間が有意に減少して通路での活動が低下し、有意ではないが横臥時間やTMRの採食時間が減少する。
- ストールエリアでのウシの行動期数は、R期はS期に比べ、総利用期数(横臥+全肢佇立+前肢佇立A・B)が増加する傾向を示し、その内、横臥と全肢佇立が有意に増加する(表2)。
- 通路エリアでのウシの行動期数は、R期はS期に比べ、TMR採食や佇立・移動が有意に減少し、歩行距離も低下する(表1)。
- 以上のことから、硬い素材を用いているFS床材の上に成形ゴムチップマットを敷設すると、ストールの快適性が改善され、ストールの利用時間が増加する。
成果の活用面・留意点
- 硬い素材のストール床材を利用しているFSの快適性を改善する情報として利用できる。
- 硬く締め固められた粘土質土間床材を対照区とする結果である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:資源循環を基盤とする乳牛の群管理システムの開発
- 予算区分:21世紀6系
- 研究期間:1998~2000年度
- 研究担当者:早坂貴代史、加茂幹男、下名迫寛、河本英憲、青木康浩、橋本政雄
- 発表論文等:(1)早坂ら (2000) 日本畜産学会報 71(8):J270-J278.