トウモロコシ細断ロールベールラップサイロの解体方法

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要約

トウモロコシの細断ロールベールは、細断材料をロールベール成形するため高密度・高品質なサイレージ調製が可能であり、作業台、ロールベールグラブ・解体台を用いることにより省力的なロールベール解体搬送が可能できる。

  • キーワード:トウモロコシ、作業、細断ロールベール、ラップサイロ
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理研究部・調製工学研究室
  • 連絡先:0287-37-7803 [区分]畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

牧草調製においてロールベールラップサイロ体系は広く普及しているが、トウモロコシ等の長大型飼料作物ではロールベール成形が困難である。しか し、生研機構で開発されつつある細断型ロールベーラにより、トウモロコシもロールベール成形・ラップサイレージ調製が可能となってきている。そこでトウモ ロコシ細断ロールベールラップサイロの特徴およびその解体方法を提示する。

成果の内容・特徴

  • 細断ロールベールラップサイロの特徴:トウモロコシ細断ロールベールは、ロールの形状が径90cm×幅90cm、重量400kg、乾物換算密度は220kg/m3程度であり、ロール円柱面を幅広ネット(幅120cm)により被覆して形状を保持する (図1)。 ラップフィルムの重複率50%、6層巻きで高品質なサイレージ調製が可能であり、1年以上保存した場合でも発酵品質は良好に保持される。
  • ラップサイロ解体作業方式の提案:細断ロールベールラップサイロは材料が細断されており、ラップフィルム・ネットの切除により簡易に解体可能であるが、サイレージ搬送面での作業強度が大きいことから、以下の2つの解体方式を提案する。
    (1)作業台方式:ラップサイロを作業台上に載せ、カッターナイフ等を用いて手作業にてラップフィルム・ネットを切除し解体する (図2)。 サイレージは作業台下に設置したベルトコンベヤに落とし込み、搬送する。本作業方式の解体時間は11分/個程度で、サイロ解体個数が少ない場合に有効である。
    (2)ロールベールグラブ・解体台方式:トラクタ装着式ロールベールグラブでラップサイロの貯蔵場所から搬送し、次に切断刃を装備した解体台にロールを押し付け、ラップフィルム・ネットを切断してサイロを解体する。サイレージは貯留ボックスから搬送コンベヤで排出される (図3)。 ラップフィルム・ネットはフィルム脱落防止用にグラブに装着したスパイクボルト(先端を研磨、長さ20cm程度)部に残り、サイレージと分離される。トラ クタによる搬送とサイロ解体迄の一貫作業により、解体時間は6分/個程度となり、サイロ解体個数が多い場合に有効である。

成果の活用面・留意点

  • ロールベールの給与個数、給飼方式等に適したラップサイロ解体方式を選択できる。
  • 飲料工場から排出される麦茶残渣は腐敗しやすいため、速やかにサイレージ調製することに留意する必要がある。

具体的データ

図1 トウモロコシロールベールの形状

 

表1 解体作業時間の比較

 

図2 作業台による解体方式

 

図3 トラクタグラブ・解体方式

 

その他

  • 研究課題名:長大型作物ラップサイロのハンドリングと解体方法の開発
  • 予算区分:21世紀3系
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:市戸万丈、喜田環樹、松尾守展、村井 勝、吉村義則、天羽弘一(現東北農研)、山名伸樹、志藤博克、石川文武、菊池 豊(生研機構)
  • 発表論文等:1)市戸ら(2000)農機学会年次大会年次報告:141-142
                      2)松尾ら(2001)農機学会東北支部会年次報告:21-22