脂肪含有率が高い泌乳牛用飼料の栄養価の推定

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

飼料中の脂肪含有率が高い飼料では既存の推定式を用いた場合に栄養価が高く推定されるが、推定式に脂肪含有率を用いた補正を加えることで、推定式の精度の向上が図れる。また、可消化成分を用いた推定式の精度は高く補正は不要である。

  • キーワード:動物栄養、乳用牛、代謝エネルギー、脂肪含有率、飼料成分、可消化成分、補正式
  • 担当:畜産草地研・家畜生理栄養部・反すう家畜代謝研究室
  • 連絡先:0298-38-8655
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

飼料自給率の向上を図るためには飼料資源の活用が不可欠であるが、製造副産物の中には蛋白質や脂肪を多く含むものもあることから、エネルギーやタ ンパク質要求量が高い泌乳牛用飼料としての利用が試みられている。しかし、製造副産物では原材料や製造法により栄養価が大きく変動することから、家畜への 適正な給与を図るためには迅速に栄養価を把握することが不可欠である。そこで、製造副産物を用いた乳牛用飼料の栄養価推定式の作成を試みた。

成果の内容・特徴

  • 飼料成分のみを用いた既存の推定式では、粗脂肪含有率が5%以上の場合に実測値に比べ推定値が過大に評価される(図1)。
  • 飼料中の粗脂肪含有率が5%を越えるような飼料では、粗脂肪含有率を変数とした補正を加えることで推定の精度の向上が図れる(図1、表1)。
  • 可消化成分を用いた推定式では粗脂肪含有率にかかわらず精度は高く、補正は不要である(表1)。
  • 以上のことから、脂肪含有率を高めた飼料での代謝エネルギーの推定には式1~3を用いるとよい。また、式4は粗脂肪含有率にかかわらず利用可能である。

成果の活用面・留意点

  • 本推定式は泌乳牛用飼料を対象としたもので、脂肪含有率が5~6%の飼料に対しても精度の高い栄養価の推定が可能である。
  • 脂肪酸カルシウムなどにより脂肪含量を高めた飼料についてはさらに検討する必要がある。

具体的データ

図1 脂肪含有率と代謝エネルギー

 

表1 飼料成分および可消化成分を用いた代謝エネルギー価(MJ/DMkg)推定式

 

その他

  • 研究課題名:高泌乳牛用飼料の栄養価推定方法に関する研究
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:1998~2000年度
  • 研究担当者:永西 修、寺田文典、田鎖直澄