養豚飼料への油脂添加によって、リンおよび亜鉛の排泄量は低減できる
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要約
養豚飼料へ油脂を5%添加して、肥育豚を用いて消化試験を行ったところ、リンおよび亜鉛の消化率は改善され、これらの糞中への排泄量は低減される。
- キーワード:豚、環境保全、油脂、リン、亜鉛、消化率
- 担当:畜草研・畜産環境部・排泄物制御研究室
- 連絡先:0298-38-8667
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
環境負荷物質であるリン、亜鉛、銅等のミネラルは豚から糞中へ多く排泄され、そのため豚糞堆肥中のこれらの濃度は高くなっている。そこで、糞中へ
のミネラル排泄量の低減を目的として、一般栄養成分の消化率がやや改善されることが知られている飼料への油脂添加効果について検討を行った。
成果の内容・特徴
- トウモロコシ、大豆粕を主体にした対照飼料およびそれにトウモロコシ油を5%添加した油脂飼料の2種を用いて消化試験を行った。
- 供試豚は平均体重40kgのLWD種去勢雄8頭で、各飼料に4頭ずつ割り振った。飼料給与量は1.3kg/日とし、朝夕2回に分与した。予備期12日間、採糞期3日間として酸化クロム法による消化率を測定した。
- 飼料への油脂添加によりリンの消化率は34.7%から50.8%へ改善され、糞中リン排泄量は5.0g/日から3.8g/日へと低減できる。(図1)
- リンと同様に亜鉛の消化率も12.6%から18.1%へ改善され、糞中亜鉛排泄量は110mg/日から98mg/日へと低減できる。(図2)
- 飼料への油脂添加効果は、銅の消化率および糞中への銅排泄量については認められない。(図3)
- 以上の結果より、養豚飼料に油脂を添加するとリンおよび亜鉛の消化率は改善され、糞中への排泄量を低減できる。
成果の活用面・留意点
- 自家配農家に有効な技術である。
- 油脂の添加量を5%以上とすると厚脂になる可能性がある
具体的データ
その他
- 研究課題名:豚における亜鉛等ミネラルの利用率改善技術の開発
- 予算区分:エコシステム
- 研究期間:2000~2001年度
- 研究担当者:高田良三、水上暁美、甘利雅拡
- 発表論文等:1)高田ら(2001)日畜学会第99回大会講要:28