トラクタ等の農業用車両の稼働状況をモニタリングできる装置

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

開発したリアルタイムモニタリングシステムでは、GPS装置で測定した農業用車両の作業位置を無線装置等で転送し作業位置をモニタリングでき、市販の機器をベースにしたシステムでは、作業位置や日間、週間、月間、年間の稼働状況を把握できる。

  • キーワード:作業、農業機械、トラクタ、稼働状況、モニタリング、GPS装置
  • 担当:畜産草地研・飼料生産管理部・栽培工学研究室
  • 連絡先:0287-37-7801
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

コントラクタ等で複数のトラクタが同時に作業する組織や補助金等で対象となる共同利用されるトラクタでの利用、さらには個人で請負耕作を行う経営 体では、農業機械の稼働状況や圃場作業を的確に捉えることが求められている。トラクタ等の農業用車両の稼働状況を容易に記録、分析するための情報化機器の 開発と利用ならびにソフトウエアの開発を行い、その運用について検討を行うことをねらいとする。

成果の内容・特徴

  • 作業位置のリアルタイムモニタリングシステム(RTM)は、位置計測のためのGPS装置、ICカードによる記録装置、無線装置からなり、1km程度離れていても作業位置をリアルタイムに地図上に表示できる(図1、図2)。
  • RTMの無線装置を携帯電話等におきかえれば、携帯電話が利用できる範囲であればどこで作業していても作業位置をモニタリングできる。
  • RTMのリアルタイムのモニタ結果はICカードに記録されているので、作業終了後に室内等で容易に地図上に作業経路を表示できる。
  • 市販のデジタルタコグラフ(Y社:SD2システム)は、GPS装置、ICカード等で構成されており、この装置(デジタコ)のトラクタ等の農業用車 両への取り付けには、電源、データの取り込み、インターフェースによるデータ変換等を必要とするが、稼働状況の日間、週間、月間、年間の経時データの蓄積 ができる(図3)。
  • デジタコによる1日の稼働状況の解析において、エンジン回転数を基に解析すると、稼働状況や休息時間等の分析が容易にできる(図4)。
  • デジタコのICカードを作業者で使い分けることにより、作業者別の稼働状況の分析が容易にできる(図3)。さらにカードの使い分けにより、作業者別の使用機械の状況も容易に把握できる。

成果の活用面・留意点

  • 共同利用やコントラクタにおいて、これらの装置を農業用車両に取り付けることにより、農業機械の作業位置や稼働時間が容易にモニタリングできるので、機械の効率的な利用が可能となる。
  • デジタコにおいて農業用車両の走行速度を駆動シャフト等からモニタリングすれば、より詳細な稼働状況の解析が可能となる。
  • これらの装置はICカードの抜き差しだけで利用できるが、長期間使用しない場合は、車両のバッテリの消耗を防ぐためにシステム全体の電源を切るためのスイッチを設けるか、装置の取り外しが必要である。

具体的データ

図1 作業位置リアルタイムモニタ(RTM)の搭載機器の構成

 

図2 RTMの走行軌跡のモニタ画面

 

図3 軽トラックにおける使用者別の走行距離の集計結果(デジタコ)

 

図4 作業時間とトラクタのエンジン回転数の分析画面(デジタコ)

 

その他

  • 研究課題名:農業用車両搭載型ICカードデータ収録システムの開発
  • 予算区分:ICカード
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:澤村 篤、喜田環樹、石田三佳、住田憲俊、加茂幹男
  • 発表論文等:1)澤村ら(1994)農機学会関東支部講演要旨:11-12.
                      2)澤村ら(2000)農機学会関東支部講演要旨:14-15.
                      3)澤村ら(2001)農機学会講演要旨:201-202.
                      4)澤村(2001)平成13年度九州地域飼料増産検討会資料:29-30.