主成分分析による乳牛のフリーストール利用特性の定量化
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要約
乳牛のフリーストール(FS)利用特性や特性間の相対的重要性は主成分分析で容易に定量化できる。主成分スコアの散布図や各個体の主成分スコアと個体属性との関係からFS利用特性を総合的に解明できる。
- キーワード:飼育管理、乳用牛、フリーストール、ストール利用、主成分分析
- 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・資源循環研究チーム
- 連絡先:0287-37-7004
- 区分:畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
休息場における乳牛のフリーストール(FS:牛床)の利用特性に及ぼす要因は、これまで不明な点が多く、各要因の相対的な重要性が明らかではな
い。また、社会的順位など乳牛の個体属性との関係も明確にされていない。そこで、秋に実施したホルスタイン種泌乳牛15頭のFS横臥時間を6日間調査して
主成分分析を適用し、FS利用特性の定量化手法を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 調査施設は床面積222m2で対頭二列式の計16のFSを設備し、北西側に搾乳室進入口、南側に給飼槽が設置されている
(図1)。給飼機は休息場東側の飼槽から順次西側の飼槽に移動して給飼する。
- ウシ毎のストール別横臥時間から得られた主成分のうち、第一主成分(寄与率27%)は列央域が利用されるか列端が利用されるかを示す指標として、
第二主成分(寄与率23%)は給飼開始飼槽に近い東域が利用されるか給飼開始飼槽から遠い西域が利用されるかを示す指標として意味づけされる。しかし、主
成分3以下は意味づけが難しい。
- これらの指標は、施設配置、給飼順序、飼槽へのアクセスのし易さ、ストール周辺環境などが相互に関わっていると推察される。また、各牛の主成分ス
コアと個体属性との関係から、列央域ストールでは、高齢、体重が重い、或いは滞在期間が長い個体の利用が多く、給飼開始の早い東域ストールでは、社会的順
位が高い、或いは滞在期間が長い個体の利用が多いことが示される
(表1)。
- 第一主成分と第二主成分の散布図から、15頭のウシは、列央域を利用するグループ、東域を利用するグループ、中間的グループ、社会的順位が最も弱いグループなどに分類される
(図2)。
- 以上のことから、主成分分析は乳牛のFS利用特性を総合的に評価する手法として有効である。
成果の活用面・留意点
- 本手法は、ストール利用特性因子の抽出とウシの個体属性との関係解明が容易で、ストールの構造、寸法及び配置、施設内環境など利用上の問題点を検討する手法として活用できる。
- 本手法は、月齢や体重の変異が大きい一群管理の牛群を対象に行ったのでものである。
具体的データ
その他
- 研究課題名:資源循環を基盤とする乳牛の群管理システムの開発
- 予算区分:21世紀6系
- 研究期間:1998~2000年度
- 研究担当者:早坂貴代史、加茂幹男、下名迫寛、河本英憲、青木康浩、橋本政雄
- 発表論文等:早坂ら(2000) 日本家畜管理学会誌35(3):65-71.