生育期間の夜温の違いによるソルガム主稈葉の最終展開葉数と展開速度の変化

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要約

ソルガム主稈葉の最終展開葉数は、品種・系統により播種時期によって、高い夜温で顕著な増加が認められ、夜温感応性の強い品種・系統は日長感応性を併せもつ。主稈葉の展開速度も品種・系統によって異なるが、必ずしも高い夜温で促進されない。

  • キーワード:栽培、ソルガム、夜温、出穂特性、展開葉数、展開速度、
  • 担当:畜産草地研・飼料生産管理部・栽培生理研究室
  • 連絡先:0287-37-7802
  • 区分:畜産草地
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

ソルガムは、品種によって播種時期や生育期間中の温度により出穂時期が変動し、出穂期を予め特定するのが難しい作物の一つである。ソルガムの出穂 までの期間を決定する構成要素を大きく2つに分けた場合、主稈葉の最終展開葉数と展開速度に分けられることから、生育期間の夜温によってこれら2つの要素 がどのように変化するかを明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 生育期間の日長の変化が少なく、昼間の期間が長くなる5月に播種し、昼温を一定にして夜温を変えてソルガムを生育させた場合、FS403やナツイ ブキ等では夜温が高いほど最終展開葉数は増加する。一方、スズホや3048B等では、夜温の違いによる最終展開葉数の変化は小さい(図1)。
  • 5月播種に比べて生育期間の日長が短かくなる8月に播種し、5月播種と同じ温度条件でソルガムを生育させた場合、FS403やナツイブキ等では最 終展開葉数は5月播種に比べて減少し、5月播種で認められた高い夜温での最終展開葉数の顕著な増加は見られない。一方、スズホや3048B等の最終展開葉 数には、5月播種との違いは認められない(図2)
  • このことから、ソルガムの最終展開葉数について、夜温感応性の強い品種・系統は日長感応性を併せもつことが認められる。
  • もう一つの構成要素である主稈葉の展開速度も、品種・系統によって夜温の影響の現れ方が異なるが、夜温の違いによる大きな変化は認められず、主稈葉の展開速度は高い夜温で必ずしも促進されない(図3)。また、最終展開葉数で見られたような、5月播種と8月播種の間での大きな違いは認められない。

成果の活用面・留意点

  • ソルガムの出穂について、生育時期を特定した場合に生育期間の夜温や主稈葉の展開葉数データを蓄積して解析することにより、変動を予測するための技術開発が期待される。
  • 夜温感応のために必要な時間や感応部位については未解明の部分が多く、さらに知見の蓄積が必要である。

具体的データ

図1 5月に播種し、異なる夜温で生育させた場合のソルガム主稈葉の最終展開葉数

 

図2 8月には種子、異なる夜温で生育させたソルガム主稈葉の最終展開葉数

 

図3 異なる夜温で生育させた場合のソルガム主稈葉の展開葉数

 

その他

  • 研究課題名:ソルガムの出穂特性解明とその栽培技術への応用
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1997~2001年度
  • 研究担当者:魚住順(現:東北農研セ)、黒川俊二、吉村義則
  • 発表論文等:(1)魚住ら(2001)日草誌47(2):139-144
                      (2)魚住ら(2001)日草誌47(2):145-150
                      (3)魚住ら(2001)日草誌47(5):484-490