トウモロコシ北方斑点病菌レース間交配後代集団を用いた連鎖地図の作製
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要約
トウモロコシ北方斑点病菌のレース1とレース3の菌株を交配した後代集団を用い、DNAマーカー連鎖地図を作製した。25個のAFLPマーカーと,レース1に特異的なHC-toxin産生遺伝子に由来するPCRマーカーについて本菌ゲノム内での連鎖関係を推定した。
- キーワード:作物病害、とうもろこし、北方斑点病菌、レース、DNAマーカー、連鎖地図
- 担当:畜産草地研・飼料生産管理部・病害制御研究室
- 連絡先:0287-37-7556
- 区分:畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
トウモロコシ北方斑点病(Northern leaf spot)はCochliobolus
carbonum(糸状菌)による病害で、病原菌は病原性によって5種類のレース(0~4)に分けられる。抵抗性品種の育成、および作付け品種の選定には
栽培対象地域に分布するレースの判定が重要である。日本国内に分布する本菌は主にレース
3とされているが、レースを決定付ける病原性遺伝子等は不明である。そこで遺伝解析データの蓄積が多い米国産レース1の菌株に国内産レース3の菌株を交配
し、DNAマーカーの連鎖地図の作製を試みた。
成果の内容・特徴
- 国内産の菌株(レース3)と米国産の菌株(レース1)との交配によりF1集団42菌株を作出した。
- 本菌の核相は半数体であるため、得られたF1集団を用いた連鎖解析により、25個のAFLPマーカーのゲノム内における連鎖関係を推定した。
- レース1に特異的と考えられるHC-toxin産生遺伝子に由来するPCRマーカー(HTS950)は推定された連鎖群のうちLikage Group 1に連鎖していた。
成果の活用面・留意点
- 今回作出したF1集団を基に病原性等の表現形質も併せて連鎖地図上に関連づけることにより、連鎖地図の情報に基づいたレース・菌系の判別等が可能になる。
- 同属近縁菌での研究例より未知の連鎖群の存在が推測されることから、連鎖地図の精度向上を図る必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:トウモロコシ北方斑点病菌の宿主特異的毒素産生遺伝子の検索・単離
- 予算区分:病原遺伝子
- 研究期間:1996~2000年度
- 研究担当者:菅原幸哉、月星隆雄、大久保博人、島貫忠幸、御子柴義郎
- 発表論文等:菅原ら(2001)日植病報 67(2): 135-136