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火入れを継続しているススキ草地は、草地全体でも局所的にも変化の少ない植物群集であるが、火入れを放棄した草地では、草地全体としては変化が少ないものの、局所的にはハタネズミの撹乱によって非常に変化の激しい植物群集となっている。
我が国における代表的な半自然草地であるススキ草地は、種の多様性に富み、かつ氷河期に大陸から渡ってきて取り残された貴重な植物群も有する。しかし、ススキ草地は、畜産的利用の減少や人手不足から採草・火入れによる維持管理が放棄され、その面積は急速に減少している。現存する草地の多くも維持管理が行き届かず、草地内で変化を起こしていると考えられる。それ故、その変化を火入れ区と火入れ放棄区における植生の動態を明らかにすることで、維持管理の重要性を明らかにする。
その結果、火入れ区では、局所的にも相関係数は変化しないのに対し、放棄区では、相関係数が急速に低下するコドラートが出現し局所的変化が大きく(表2)、平均相関係数の急速な低下が起こっている(図1)。これは、火入れ区では、ハタネズミの営巣活動による植生の撹乱が全くないのに対し、放棄区では、被度にして平均5.4%も撹乱されていることによる。